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呼び出し
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「おいっ!萩野!!」
僕たちが並んで座っていると、遠くから人混みをかき分けた凄い勢いで駆け寄ってくる男の人が見えました。
僕たちの前までくると、背を丸めて肩でゼェハァと息をしています。
「め、めっちゃ探した!!!萩野クラス戻ってきて!手伝え!!!」
「こんなとこにいたのかよっ」と、今も苦しそうに息を吐きながら男の人は言います。
萩野「………いや、電話しろよ……」
…………確かにそれは僕も思いました………
犀夜さんと同じクラスの人でしょうか……、その人は膝を地について「そ、その手があったかぁあ!!」と打ちひしがれています……。
………陽気な人だなぁ
………ん、あれ………?
僕「……犀夜さん、行っちゃいます……?」
よく考えてみれば、犀夜さんが呼ばれたと言うことはここでお別れしなければなりません。
萩野「………………」
僕は寂しさを隠し切ることができず、きっと困った顔で犀夜さんを見つめてしまっていたと思います。
そんな僕を見ると、犀夜さんは様子を見守っている男の人を睨みつけ、「どうしても行かなきゃダメなの」と聞いていました。
「……っ、!いや、マジで人手不足なんだよ、みんな出払っちゃってて………」
萩野「…………」
犀夜さんの無言の圧がどんどん男の人にかかってしまっているような気がします。。
僕「あ、あの……っ、僕十分楽しかったですよ…?どうぞ、クラスに行ってあげてください…」
なんだか青い顔をしている男の人が不憫に思え、僕はそう言いだしていました。
萩野「………春……。俺はもっと春といたいんだけどなぁ」
睨みつけていた犀夜さんは僕の言葉に僕の方を振り返り、大型犬モードに急に切り替え悲しそうに言いました。
……………っう、……、これが演技だってわかってても……、やっぱりこの犀夜さんには抗えないかも………っ
「…あ……、………よし、そこの萩野のお気に入りちゃんも一緒に連れてけばいんじゃね??」
そんな僕たちのやり取りを見ていた男の人が、提案しました。
萩野「…………よし、なら行こう」
………え、……っえ?
そう言うや否や、シュタッと犀夜さんは立ち上がり、しかもまさか僕を軽々と抱っこをして歩き始めたのです。
「おおー、すげーな力持ち」
僕「…………え、……っへ!!??、せ、せせ犀夜さん下ろしてくださいっ!!!」
高校生にもなって簡単に持ち上げられてしまったことへの軽いショックと驚きに、僕は何が悲しいやらドタバタと暴れました。
萩野「暴れないで春。危ないから」
それでも犀夜さんは御構い無しにずんずん歩いていきます。
僕は浴衣でうまく身動きも取れず、なんとそのまま校舎の中まで運ばれたのです………。
萩野「はい、着いたよ春」
僕「………………」
下駄箱に着いて下された時には、僕はすでにグッタリしてしまっていました。
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