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誕生日
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「誕生日?えとね、たしか....3月....?」
「何日?」
「えっと....多分だけど、22日....?」
きっと、しばらく誕生日なんて祝われてないんだろうな。
自分の誕生日をすぐに思い出せなくなるくらいの期間は。
「そっか....覚えておかないとね。今年は僕が1番におめでとうって言うから。
いや、これからずっと。僕が1番。」
「うん。ありがとう。
....本当にありがとう。」
ハルは今にも泣きそうな顔でぼそっと呟いた。
「泣かないで。ハル。」
その僕の一言でハルの目からぽろぽろと雫が零れ落ちた。
「ん....なんで.....泣きたいわけじゃないのに....涙が....」
「ごめんね、泣かせちゃった」
「ちがっ....!これは....ただ....嬉しかっただけで....なのに....なんで....?涙が止まらないの....どうしたらいい....?」
ハルの目からとめどなく溢れてくる涙はすごく綺麗で。
「おいで。」
そういって両手をひろげる。
「っ....」
するとハルは遠慮がちにこちらにきて僕の存在をたしかめるようにぎゅっとした。
「大丈夫。いなくならないよ。」
「っ....!なんでわかるの....?」
「ハルが相手だから。」
「....そっか....」
僕が少し強く抱き締めるとハルもしがみつくようにぎゅっとしてくる。
そしてすごく不安そうに涙を零しながら
「もっとぎゅってして。いなくならないって
証明して。
僕を
ひとりにしないで....おねがい....」
と。
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