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中学校
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そこから中学に上がるまで
何も考えず何も感じず、ただ二酸化炭素を吐き出すだけの人形のようになってた。
声は戻らなかった。
何故か出ないまま。
だからいちいち筆談しなければいけないし、行為を拒むことが難しくなった。
そして、こんなことになった時に居合わせ、両親に嫌われていると告げられたベットはどうしても苦手だった。
その後も床で寝させ続けられたからよかったが、たくさんの人の相手をさせられるときにベットに連れていかれるのが怖くなった。
ただ、僕は麻痺していて、体は恐怖を感じているのに脳はそう思っていなくて、たくさんの人の相手をする時も叔父さんの相手をする時もただひたすら笑ってた。声は出ないから心の中で。
ずっと。
でも、中学に上がり「あの子」と出会いそれがかわった。
入学式の前日、いつものように犯されて殴る蹴るの暴行を受けて死ぬように寝た。次の日は入学式だったが小学校と同様にいじめられるであろう。
だから、誰とも親しくしたりしない。
話しかけたりなんかしない。
親しくなる前にいじめられるだろうが最初から関わりを持たなければ心的ダメージは少ないはずだ。
小学校の頃は変に仲良くなろうとしたせいで余計に拗れた。
だから、中学ではずっと一人でいる。
そう決めた。
何も思わずに入学式の日の朝を迎え、
作業のように亡くなった両親の遺したお金で買った制服を着た。
そして傷の手当用に買っていた包帯を巻いて、傷自体が見えないようにする。
先生に目をつけられたら厄介だからな。
もし何か言われたらよく怪我をすると言った方がいいかもしれない。
まあ、小学校の頃の担任は皆見て見ぬふりをしていたから大丈夫かな。
「....」
静かに家を出て学校に向かう。
そして入学式を迎えた。
各々が緊張した面持ちで両親と一緒にクラスが張り出された体育館の横にいる。
僕は....1組だ。
心底どうでもいい。
....でも。
この日を両親と迎えられたなら。
どんなに幸せだったか。
そんな考えが頭をよぎる。
そんなことを考えてはいけない。
そんなこと叶わないのだから。
どう頑張ったって叶わない願いなのだから。
久しぶりに胸が苦しくなった。
苦しくて、苦しくて。
その場にたっていられず、
体育館の裏にふらふらとした下足取りで行った。
すると、先客がいた。
まずい。
ここは人がいる。
慌てて戻ろうとすると
「君も気分が悪いんでしょ?隣、座りなよ。」
突然声をかけられた。
その人はかなり長身の顔が整った少年だった。
でも、腕のところに包帯が見える。
....リストカットかな....
「....」
どうしていいかわからずその場に立ち尽くす。
すると、
「どうしたの?俺の隣はいや?」
と問われ、初日から変なトラブルを起こすのはまずいと思い、隣に腰掛ける。
そして紙を取り出し、
『僕は声が出ないんです。』
と書く。
「あぁ、そういうこと。だから何も言わなかったのか。」
納得したようにうんうんと頷く。
『ごめんなさい。不便ですよね。でも、少しだけここで休ませてください。』
「ん、いいよ。というか同い年だから敬語じゃなくていい。」
『そうなんですか。わかりました。』
「敬語のままじゃん....まあ、慣れるまではそれでいいけどなるべくタメ口でね?それはそうと名前は?何組?」
『櫻井遥。1組。』
「あ、同じクラスじゃん。遥くんか。
俺は九条蒼(くじょうあおい)。」
『蒼くんね。』
綺麗な名前。
いいな。
「遥って綺麗な名前だな。」
そう言われてどきっとした。
同じことを考えていたから。
『そうかな。ありがとう。蒼くんも綺麗な響きの名前だよね。』
「ありがと。俺は今でこそ身長伸びたからいいけど、昔は散々女と間違えられたからな。名前がこれだし。遥くんもそんな感じっぽいね?」
『うん。いまでも間違えられる。トイレとか行こうとすると近くにいる人が焦って教えてくる。』
「あちゃー、それやだな。声も出ないなら尚更面倒じゃん。大変だね。」
そんなことを言われたのは初めてだ。
『ちょっと嫌かな。ねえ、そろそろ入学式始まるよ。いかないの?』
「ん、もうそんな時間?行く。」
そう言って立ち上がった。
「遥くんも行こ?」
その言葉を聞いて頷き立ち上がる。
そして一緒に体育館に向かった。
....久しぶりに話していて苦しくない人をみつけた。
でも....仲良くなってはいけない。
距離を置かなければ。
そうでなきゃ自分が辛いだけだ。
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