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『大丈夫』
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「そうですか。しかし、あなたの息子さんが実行したのは間違いありませんから、少なからず示談金は用意して頂く形になるかと。そもそも、今回の件は彼女に依頼をされ、自らの意思で被害者に危害を加えた訳ですから、彼女のみが悪いということにはなりません。」
「だからなんです?今回は魔が差しただけだと息子は言っています。こんなことをしたのは初めてなんです。だから見逃してくれてもいいでしょう?」
「いいえ。よくありません。それに今回が初犯じゃないはずですよ。前科があるはずです。」
「....!何を根拠にそんなことを言っているんだ!!」
図星だったのか、突然立ち上がり声を荒らげる。
「彼はこの学校の卒業生です。彼がまだ在校生の時、同級生の女の子に性的暴行を加えたとして問題になっています。記録に残っていました。それに、私は当時も保健医をしていましたから、被害を受けた女の子と話もしました。それが根拠です。」
....初犯じゃないのか....
....というかやっぱり他校の同い年の生徒ではないんだな....
「うるさい!それを何故こんな所で言う必要があるんだ!恥を晒して!何が目的だ!」
担任は興奮して声を荒らげ続ける。
それを聞いていて、次第に昨日起こったことを思い出して怖くなってきた。
....やばい....かも....
体の震えが止まらず俯く。
頭の中はこんなにも冷静なのに、体が言うことを聞いてくれない。
昨日の光景がフラッシュバックする。
蒼が....殴られそうになる場面が。
いや....いやだ....
そんなことを考えていると、
頭にぽんと誰かの手が乗った。
「....え?」
手が伸びてきている方を向くと、蒼が真っ直ぐ前を向いて座っている。
その口元をみると、
『大丈夫』
そう動いた。
それを見て震えが止まり、しっかりと前を見据えることが出来た。
もう、大丈夫。
ありがとう。蒼。
そのあと、担任の男が意味のわからない理論を展開し続けていたが、それに周りの保護者たちや保健室の先生が反論し、示談金の話し合いは無事に(?)終わった。
そして、そのあと校長先生が入ってきて、担任の男を僕のクラスの担任から外し、別の人をつけることにすると、言ってくれた。
これで、平和な日々が戻ってくる。
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