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いってらっしゃい。
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そのあとはしばらく何の変哲もない日々が続き、平和に過ごしていた。
部活のために叔父さんたちにお願いをしたり....特別なことはそれくらい。
相変わらず蒼とは仲が良く、ずっと一緒にいた。
ずっと一緒にいたが、お互い恋愛感情のようなものは一切なく、ただ1人の大切な友達としてそばにいた。
そして、遥が絶望し、壊れた時も蒼はずっと傍に居続けた。
いつか見返すために学力をつけると言った遥に、逃げる時の資金は用意しておいた方がいいといって株を教えたのも蒼だ。
そこから時が流れ、中2に上がっても、2人はずっと一緒にいて、離れることは無かった。
まわりから「付き合っているのでは」と思われるくらいには。
遥の中で、蒼は「友達」から「親友」になりつつあった。
また蒼の中でも同様だっただろう。
しかし。
遥が中2の冬。
蒼は突然失踪した。
初めは学校に来なくて風邪でも引いたのだと思っていた。
しかし、1週間経っても2週間経っても蒼は現れない。
なぜかと担任と問うと、帰ってきた答えは、
「....彼は失踪しました」
だった。
それを聞いても遥は悲しくなかった。
彼はなんの理由もなく何言わずに僕の目の前から消えるはずがないのだから。
なんの根拠も無い自信だった。
でも、疑うことはなかった。
絶対に彼は僕の傍に戻ってくる。
それまで、僕は待ち続けないといけない。
だから。
いってらっしゃい。
帰ってきて1番に「おかえりなさい」を言えるように、「僕は逃げ切ったよ」って言えるように。
頑張らなくては。
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