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淡い期待
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「ごめんね。話が長かったから分かりづらかったかもしれないけど、僕がベットが苦手な理由は自殺をしようとした場所だから。それから、中学の時の出来事のせいで、体の大きな男の人とか、媚薬みたいな薬、縛られるのも苦手なんだ。」
「....そうだったんだ....だから....ごめん。そんなに壮絶なトラウマがあるとは思わなくて....今更だけど、やっぱりソファで寝る....?」
「ううん。大丈夫。でも、そのかわり真も一緒がいい。」
「そんなことでいいなら。というか、しばらく一緒に寝ることになっちゃうね。」
「真が迷惑じゃないならそれでもいい....?」
「もちろん。迷惑だなんて思ってないから。
....しかし壮絶だね....まだ中学生なのにそんな....考え方も大人っぽかったみたいだし。ハルは大変な思いをしてきたんだね....」
そういって真が思い詰めたような顔をする。
「もう。そんな顔しないで。真のせいじゃない。確かに大変なこともあったけど、今は幸せだから。今は今、過去は過去だよ。気にしてないって言ったら嘘になる。でも、僕はちゃんと幸せだからいいんだ。
....あとは蒼を見つけるだけ。」
蒼....どこにいるのかな。
死んでるなんて縁起でもないことは考えない。
僕は待ち続けるだけ。
....ただ、それだけ。
「蒼....さん、か。なんか妬けるなぁ」
「ん....?なんで?」
「そんなの、決まってるじゃん。ハルにそんなに信頼されてて、こんなに長い間思われてるんでしょ?羨ましいよ。」
「そういうものなの....?でも、蒼は真とは気が合いそうな人だったなぁ....頭はよかったし。僕の大切な親友。真にも会わせたい。」
「そっか。会えたらいいな。たくさん話も聞きたいし。」
「....?なんの話?」
「もちろん、中学生時代のハルの話。」
「....そんなの気になるの?」
「気になるよ。」
「そっか....
ねぇ、真は蒼の名前に心当たりない....?」
すると、真が難しそうな顔をする。
「実はね....ないわけでは....ない....」
「....え!?ほんと!?」
びっくりして声が大きくなる。
「あはは....あんまり期待はしない方がいいよ....?
ただね....遠縁の親戚にさ....九条楓って人がいるんだ。その息子の名前が....たしか蒼だったような気がしなくもない....離婚して実家に戻ったはずなんだよ。1、2年前に。実家はたしか僕の実家の近くだったはずだから、関西にさ。本人だって確証は全くないし、なんなら違う可能性の方が高い。だから期待はしないで。
でも....この前父さんからちらっと聞いたんだ....遠縁の九条家の息子が僕と同じ学校に転校してくるって。入学式に間に合わないらしくて、遅くなるみたいだけど、もうそろそろなんじゃないかな。もし、本人なら、また一緒に学校生活を送ることが出来る。そうなるといいね。」
そう言われ体中の血液が沸騰するような感覚に襲われた。
「....蒼に....会えるかもしれない....?」
もし会えたら。
会えたなら。
「うん。そう。でも何度も言うようだけど期待はしないで。確信はないよ。」
「それでもいい。ありがとう。真。」
「うん。ハル、今日はもう寝よう。明日のこともあるし。」
「わかった。おやすみ。真」
「おやすみ。」
淡い期待を抱きながらその日は眠りについた。
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