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朝
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青く澄んだ空には、白い雲が浮かんでいた。
俺は自転車に跨がり、颯爽と漕ぎ出した。
だが、その足をすぐに止めた。
家から少し進んだ俺の後ろの方で、ドアが慌ただしく閉まる音がした。
「おはよう!トモちゃん!」
後ろを振り向けば、そこには、俺と違う制服を着た、少し背の低い幼馴染みが手を振りながらこっちを向いていたのが目に入った。
「トモちゃんも今から学校?もしかして遅刻しそう?」
「俺はいつも通りだよ。ハルが遅いだけ。」
「そうなのか!だから朝会ったりしないのか!」
そうかそうかと納得しているハルをそろそろ現実へ引き戻すとしよう。
「お前、電車大丈夫?」
俺にそう言われてスマホのロック画面を見たハルは、案の定、みるみる顔が青ざめていった。
「ど、どうしよう!次の電車まであと少ししかない!またね!トモちゃ」
急いで走り出そうとしたハルは道端に盛大にスッ転んだ。
....先が思いやられるな。
俺は自転車に跨がったまま、ハルの方へ向かった。
「乗れよ。」
ハルは、その言葉を聞いて一瞬きょとんとしたが、すぐに素直に自転車のフレームに跨がった。
ハルが俺の腰にしっかりと手を回したのを確認してから、俺は全速力で自分の学校と逆方向に自転車を進めた。
「ねぇ、これって大丈夫なの?お巡りさんに捕まったりとか、しない?」
「見付かる前に着けば問題ねぇ!」
駅が見えてくると、俺は適当なところでハルを下ろした。
「えへへ、ありがとね、トモちゃん」
「こんどなんか奢れよ」
「奢る奢る!じゃ、行くね!」
駆け出して行った後ろ姿を見送ってから、俺はやっと元の目的地に向かう。
あぁ、温かかったなぁ。
あんなにくっついたのは何年ぶりだろう。
頭の中でそんな文字列が飛び交っていた俺は、心ここにあらずというふうに、どこかぼおっとしながら自転車を漕いでいた。
一体、いつからだっただろうか。
ハルに、こんな友達や親友とは違う感情を抱くようになったのは。
明日海友也、17歳。
人生17年目にしての初恋の相手は、同姓の幼馴染みだった。
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