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不戦敗
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度重なる相談の結果、
来週の日曜、有名なスペースオペラの洋画。と言う風に日時と作品が決定した。
親身になって話し合ってくれた二人の為にも、何としても俺はハルに告白しなくてはいけない。
うまくいったら、必ず紹介しよう。男だってこと、バラさなきゃいけないけど。
その日の夜、早速ハルにメッセージを送った。
可愛らしいOKスタンプが返って来ると、既に、これは夢なんじゃないだろうかなんてことを思っていた。
まさにその通り。現実はそこまで甘くなかった。
ベットの横におかれている時計は、家を出なければいけない時間を過ぎているのを示している。
「40度ぴったし.....」
自分にしか聞こえないような掠れた鼻声で、小さいデジタル数字を読み上げる。
こんな大事な日に限って風邪を引いてしまうとは。情けないやらカッコ悪いやらで、涙が出てくる。
クラクラする頭で、枕元の携帯をいじり、ハルに今日は行けなくなってしまったことを伝える。
『また、機会があったら一緒に見に行こうね!』
と、優しい言葉が今は痛い。
心配してくれているのが伝わってくる返信を一目見ると、俺はそのまま静かに目を閉じた。
やっぱり、下手に告白なんてするもんじゃないんだろうか。
そもそも、男同士でなんて、本当にアリなんだろうか。
そんなことばかり頭に浮かんでしまい、折角できた告白の決意は、だんだんと萎んでいってしまった。
結局、その日は丸一日眠っていて、学校へ行ったのも水曜日だった。
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