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「なーんてね。それだけで察するなんて流石にできませんよ」
「なっ……」
本当に信じたんですか?とかいいながらクスクス笑うフワフワは
んーっと伸びをして続けた。
「ふふ……僕、妹がいるんですけど、学生時代は本当ただの音楽バカでして。
楽器を始めたての頃は酸欠で倒れるなんてしょっちゅうでしたからね。あーこれ、昔よく見たやつだなって…
すぐにわかってしまいました」
優しく微笑むフワフワ。
透き通る綺麗な声は今朝も聞いたものと何も変わりないのに
長いまつ毛で隠れた瞳は、少し揺れたように見えた。
窓からグラウンドを眺めるその表情を読み取る事はできなかったが
懐かしそうに、幸せそうに、楽しそうに、辛そうに…
そのすべてを感じさせる雰囲気
これ、なんて言うんだっけ
――…”哀愁”
そんな単語が頭をよぎった。
ぼーっとフワフワを見ていると静かにこちらへ振り返る
特に理由はないが慌てて目線を外し、その辺にあった薬棚でも適当に見ておいた
「…ふむ、高木先生も楽器やってらっしゃいましたね?
例えば…サックスとか…」
いつの間にか楽しそうな表情に変わったフワフワは俺にそんな事を言い放った。
驚き固まる俺。
なんでわかるんすか…
心の声は多分口から漏れていたと思う
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