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声の先にはこの一週間なるべく避け続けた人物がいた。
ついさっきまで、あんなに声を震わせていた……
なんて一切感じさせないようなケロッとした顔をして。
「高木先生…すみません、ちゃんと前見てなくて…
おしり、痛くないです?立てますか?」
伸ばされた白い腕に掴まる
こんなにひょろいやつでもやはり男なんだと、
俺を立ち上がらせてくれた力強さにそんなことを思った。
…その時一瞬袖が捲れて目に入った細くて白い腕は
何だか……。
って、そうじゃない。今はそれより謝ることが優先。
人並みに常識のある人間には育ってると思う。
「や、俺も急いでたんでちゃんと見てなくて。
…すいません」
フワフワは俺を引っ張って捲れた袖をそそくさと直す
こんな仕草一つにさえ、不思議と目が離せなかった。
まだ戻れるから
まだお前に興味なんて無い俺でいられるから
お願いだから関わらないでほしかった
「なんだか久しぶりに話したように思います」
そりゃあそうだろ。俺が避けてたんだから。
「この時間に帰られるなんて珍しいですよね?いつも僕が帰るとき、まだ車ありますもん」
なんで俺の車知ってんだよ。
「あ、そっか!高木先生も飲み会参加されるんですね!!
よかった〜!あまり話せる人がいないと緊張しちゃうじゃないですか」
よく喋るな今日は。
なんだ、生徒に告白されてテンションでも上がってんのか
衝撃で忘れかけた苛立ちが
再び沸々と湧き上がる
「…あー、あの俺今日は「では、お先に失礼しますね、今日楽しみですね。また後程!!」」
「は…?」
振り返りニコッと笑顔を作ると、パタパタと走って出て行ってしまった。
…いや、一方的だなおい
俺行くなんて一言もいってねーし。
てか行かないからな。
心の中で呟いて、俺は重い足を進めた。
…カラン
ん?
何かをけった音がした。
音のした方を見ると黒い小さなプラスチックがあった。
…なんだこれ。USB?
拾い上げると裏には丁寧に付箋が貼り付けられていて
”保健だより 月曜朝まで”
……………これが誰の物かなんて一発で分かった。
これ無いとまずい奴じゃないのか
慌てて職員用の駐車場に向かったがひと足遅く
フワフワの車が門を曲がっていくところが見えた。
ちなみに車は水色と白のツートンカラーのラ○ンだった…
ちっちゃいウサギさんみたいなやつ…。
女子かよ………………。じゃ、なくて
…くそ。
これ渡したらそっこー帰るからな……。
高木、本日出席 決定。
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