アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
27
-
氏原side‥
高木先生はお酒が入ると少しばかり笑顔が増えたような
気がした。
シラフでは有り得ないような優しい手つきで
頭を撫でてくれることも
他の人にも見せてきた姿なのかと思うと少しだけ腹が立った。
しかもまたあのババアを探してため息なんかつくものだから、我慢できなくなった僕は
”わざと”
頭をぶつけてやった。
そう。僕は別に酔ってなんかない
というか、今までの人生で酔っ払ったことなんか一度もない
今の演技は上手くやれているだろうか
勢いに任せてしまったものの、体調は平気かとか、眠ければもたれ掛かって良いだとか、そんな優しい事ばかり言われたら心臓が持たないよ…。
高木先生の肩に頭を乗せ、目を閉じながらそんな事を思う
「…なんか心臓、めっちゃバクバク言ってますけど
ほんとに平気っすか…?」
暫く窓を見つめていた彼は、こちらを向くと心配そうに僕の胸に手を当てた。
「飲みすぎると…いつもこうなっちゃって…へへ、きにしないでくだひゃ…ぃ」
顔が熱くなるのがわかり、咄嗟に俯いた。
もう…誰のせいだと思ってんだ。高木先生のばか。
- -*- - -*- - -*- - -*- - -*- - -*- - -*
居酒屋からタクシーで約30分。
家の前に到着し、領収書を受け取ると
降りてきたエレベーターに乗り込んだ。
8と13のボタンを押すと、静かに閉まる扉
”上へ参ります”
聞きなれた機械音―。
何も変わらない日常
どこか違うところがあるとするならば、
…隣に泥酔した好きな男がいるという事くらい。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
27 / 448