アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
31
-
「…高木先生…?どうかされましたか?」
「っ?!」
思わず身体がビクッと跳ね上がり、慌てて振り返った。
カウンターを覗くのは、まだ少し顔の赤いフワフワだった
「あ、すいません…水」
「ふふん、大丈夫ですよ。音がしなくなったので
何かあったんではないかと見に来ただけですから
…僕もご一緒していいですか?」
何の事だかわからず、え?と尋ねると、タバコを持つ俺の指先を、微笑みながら指差していた
「あー…もちろん」
1つしかない灰皿を、フワフワが使いやすいように真ん中の方へ移動させた。
足どりも外に比べてしっかりしたようで安心した。
まだ少し顔は赤いけど、あれだけ飲んだんだ。それくらいは当然だろう
「…ねえ、高木先生?」
「ん?」
「あ、あの…大したことではないんですけどね
下の名前…なんておっしゃるのかなって…」
「…へ?」
「あ、や…別に深い意味とかは…ないんですけど、生徒も教師もあなたの事を名字で呼ぶから…下の名前、知らないなと思いまして…?」
上目遣いでこちらを見る目があんまりにも可愛いから、
多分今俺赤面したと、思う。多分ってか確実にした。
「……コウメイっていいます…」
「…コウメイ…」
「家康の康に明るいって書くんすよ…よく読み間違えられるんですよねー。学生時代とか、特に先輩とかにはやす君やす君言われてて。いや1文字も入ってねーからって毎回突っ込んでたっすわ…」
…はっ。
ここまで言って気づいたけど名前聞かれただけでいきなり昔の事とか語り出して呆れられてねーかな
…なんて思って恐る恐るフワフワの方を見ると
今まで見たことの無いような、全く感情のないような表情で、手元のタバコを見て固まっていた
いや、その表現もなんか違くて。正しくは何も見えてないというか…
真っ黒な瞳には何も映ってはいなかった。
普段とあまりにも違うそのギャップに
思わずブルっと身震いをした
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
31 / 448