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話を聞くに、例の生徒は今年に入ってからずっと不登校だったにも関わらず、氏原が来てからは少しずつ登校し始めたそうだ。
もちろん、今は教室へは行かずに保健室登校という形をとっているらしいけど。
「せっかく僕に会うことを楽しみといって来てくれてるのに、その……僕が居場所をなくしてしまうのはいけないと思って…。
だから、無事卒業出来る事になればその先のことも決めていこうねって返しておきましたけど…。
そしたらなんか喜んでくれて、頑張るねって言ってくれたので結果オーライかななんて思って…。」
なんていうかそれ、返事になってないような…
多分その生徒は卒業したら付き合えるとでも解釈したんだろうけど。
こっちから言わせれば進路やらなんやらを決めていこうというだけであって教師として当たり前のことをわかりにくく答えただけなんだけどな。
でもほかにも気になる点は確かにあった。
「…じゃああの泣いてたのは何だったんすか…」
「あ、あぁ~…。僕学生時代は演劇部でして…」
………。
はあぁぁぁぁぁぁ…と俺から大きなため息が漏れると、当の本人は頭をかきながらてへっとか言って笑ってた。
…なんか、こいつの裏を見た気がした。
ってことは、待てよ。
さっきまでの呂律も危うい千鳥足から打って変わって
このしっかりした態度や顔つき。
まさか…まさか……。
「酔っぱらったっての…もしかして演技?」
「……。」
あからさまに目をそらした氏原。
答えなんて聞かなくてもわかる。
…昔から、勘は当たる方だった…
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