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4限の終わりは12時35分。今は33分…あと少し…
そんなことをこの1時間ずっと考えていた。
自由参加の課外には案外多くの生徒が参加しており、
基本的には自習なので特別時間割等は定められていない。
自分のクラスを見渡してみても、やっている教科は様々で、
わざわざ漫画を読みに来てるやつもいる
「…そろそろ終わるな。よーしお疲れー。
流れ解散でいいからちゃんと飯は食うようにー。」
キーンコーンカーンコーン……
言い終わるとほぼ同時にチャイムが鳴った。
わっと盛り上がる室内、席を立つ音から伸びをする
生徒たちの制服の擦れる音
緊張感の緩んだ瞬間のこの音は嫌いじゃない
いつもなら動くことすら面倒で、そのまま
教卓の下からイスを引っ張りだして腰掛けるところだが
今日は購買に向かう生徒と一緒に俺も教室を出る。
早足で後ろ側の扉の前を通り過ぎようとしたその時、
何かに手を引かれた。
瞬間、バニラの甘ったるい匂いに包まれ
視線を落とすとビビッドピンクの長い爪。
校則の厳しくない学校ではあるが、ここまで
派手なのも珍しい。
思い当たる人物は、一人しかいなかった。
「ちっ…なんだ、またお前かよ渡辺。」
「ちょっと明らか面倒そうな顔するの辞めてよねー!!
あのさ高木っち、ちょっと教えてほしいとこあるんだけど!」
「…だったらさっきの時間に聞けよアホ。
用事あるからまた今度聞くわ。」
今はそれどころじゃなくて、
早くあの場所に行きたくて。
別に楽しみとかじゃなくて、約束してたから。
それだけ。
本当に保健室に生徒を入れずにおとなしく待っていたら
面白いと思っただけ。
大股で廊下を進んだ。
保健室までの長い道のりを恨みつつ、少し早まる鼓動を
疲れて息が切れたんだと言い訳しながら。
もちろん、教室に残された渡辺が
複雑そうな顔をしたことも
不敵な笑みを浮かべて周りの女子から
怖いだの何だの騒がれていた事も
俺は知る由もない。
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