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氏原side‥₁
久しぶりに”高木先生”のいない学校は
いつもと何ら変わりないのに、
何故か少し色褪せて見えた。
「氏原くーん?氏原幸人くん?」
妙に上機嫌でイラッとする声が
僕を呼んだ。
「…何無視してんのよ。」
「…何気安く呼んでんの。」
はぁ…とこれみよがしに大きなため息を付く音が
聞こえたのを可憐に無視して保健室へ向かった。
「待ちなさ〜い?あんた数日前にそこの保健室使って
何したか分かってるんでしょうねー??」
ビクッと体が跳ね上がる。
くそ…やっぱあれナルだったのか…
思い出すのは講習日の昼下がり
康明と繋がったあの日の事…。
「そこに忍び込んで興奮しちゃうアラサーに
煽られてもなんともないんだけど。」
べっと舌を突き出して再び足を進めた。
ちょっとだけ顔、赤くなってるの誤魔化せてるだろうか…
まあ、ナル相手じゃ無理だろうなあ…
「あれ見つけたのがあたしじゃなかったら
どうなってたかわからないわよ。まったく…」
まあ、そこに関しては確かに感謝しかないわけで…
観られたのは…その…恥ずかしくて仕方なかったけど
こうして何事もなく校舎を出入り出来るのも
あの場に出向いたのがナルだったから…。
「…そ、れは…まあ…ありがと。」
「……?!珍しいじゃない…素直だなんて…」
そりゃあ、康明と一緒に仕事が出来なくなるなんて
想像もしたくないんだから。
「そういえばそのお騒がせ第二号が見当たらないじゃない?」
わざとらしく唇に人差し指をひっつけて
首を傾げて聞いてくる。
「…なんで僕に聞くわけ」
「幸人が知らないはずないから?」
「………はぁ。教えない。」
「あら…そう。そっちがその気なら………」
そういうとナルはくるっと職員室側に踵を返して
アホみたいに大きな声を上げた
「氏原先生はね〜!この間保健室でせっ……」
「まってまてまてまてナルこら!バカナル!」
言いかけた言葉に驚愕して慌ててナルの口元を
手で押さえた。
意味分かんない…マジ汚い…性悪ナル許さない…。
「…で、高木くん今日は休みなの?」
「…昨日、高熱出して倒れたから…
熱は下がってたけど休ませたよ…身体怠そうだったし。」
そんな必要な情報かよって思いながらも
またあんな事言われたらと思うと怖くて
渋々口を開いた。
「熱ねぇ…それは1日付き添って看病してあげたって事で
いいのかしら?」
「…当たり前でしょ。」
「そう、さすが幸人ね。高木くんにベタ惚れなのね?」
「…うるさいな。悪い?」
「べっつに〜?…ていうかあんた病院連れてったんでしょうね?」
「…は?必要ないでしょ。僕がついてるんだよ。
なんで他の人間に康明のこと触らせなきゃいけないわけ」
大きくため息をつくナルを見て
ちょっと意味がわからなかった。
別に死にそうかそうじゃないかくらいわかるし
でも病院に行って点滴とか打ってもらったほうが
康明は楽だったのかな…?
そう思うとなんだか
僕のわがままで申し訳ないことしちゃったなって思った。
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