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氏原side‥₂
康明…そろそろ起きたかな。
ご飯テーブルに置いといたけど
ちゃんと食べてくれるかな
…あの人朝弱いからあんまり食べないんだよな…。
提出物のチェックや休み明けに控えるテストを
作成する必要もない僕は、特にやることもないまま
保健室でボーっとしてた。
その間も、考えるのは康明の事ばかり。
「………はぁ~~~…。」
忙しいのも嫌だけど
暇すぎるのもなんだかなぁ。
時計に目をやって、今日すでに何度ついたかわからない
ため息をまたついた。
まだ学校に来てから2時間も経ってないなんて…。
いつも何してたっけなって思い返せば
授業の空き時間には必ずと言っていいほど
康明がいてくれたし
たまに喫煙所に行けば見計らってるのかってくらい
遭遇率の高いナルがいたり
保健室登校の男子生徒が顔を出す日は
宿題だとか勉強を見てあげたり。
僕に教えられる範囲なんてたかが知れてるんだけど。
グラウンドで部活に励んでいる生徒を見ながら
こいつらが適当にすっこけてくれたら多少は仕事も
できるのになとか物騒なことを考えたりもして、
興味のないネットニュースを見ながら時間を潰した。
スマホが震えるたびに素早く取り出してみては、
迷惑メールの通知に肩を落とす。
そんな事をもう何度も繰り返していた。
ブーーッ
…またか。
半ば諦めかけてスマホを開くと
そこには”高木康明”の文字。
急に胸が締め付けられるような感覚になり、落としそうになったスマホを慌てて受け止めた。
こういう時に限って指紋がなかなか認証されないんだ。
いらつく…。
ドキドキしながら開いたメッセージには
『ねむ。』
ってそれだけ。
彼らしくて思わず顔がほころんだ。
『おはよう。ご飯は用意してあるからあっためて食べてね
午後からの職員会議で体育祭について話すそうなので
資料、康明の分ももらっとくね。』
顔文字とかつけて可愛くしようか迷ったけど
言っても僕だってもう25で康明より3つも上だから…
ここは大人っぽく行こうとシンプルなメッセージを送る
事にした。
すると程なくして、通知を知らせるバイブが鳴った。
『たのんだ』
からの、ゆきちゃんなら出来る!なんて文字の入った
親指を立てたキャラスタンプ。
僕にしか使えないじゃんって笑いながら話してて
結局それと一緒に僕もこうちゃんスタンプを買った。
こんな小さなことが、すごくすごく幸せだなんて。
シャイかよ…僕……。
頬を両手で押さえると、心なしか少しだけ熱いような気がした。
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