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当然のごとく1時間以上授業をサボった俺はナル先生からお説教を食らい、適当に聞き流しながらその日の仕事を終えた。
隙を見て、喫煙所での含みの持たれた言葉の真相を聞こうかとも思ったが、タイミングを逃して言えず終いだった。
いや、本当に聞こうと思えば聞けたんだ。
自分が、逃げていただけで。
そして今
本番前日の夜。
なんでだ、緊張して眠れねえ…。
いくつになっても、こういうイベント前の夜は眠れないことが多かった。
何度も何度も寝返りを打って、カーテンをいじったり照明の明るさを調整したり
何度も睡眠を試みたがそれは虚しくも失敗に終わっていた。
ふと、目についたスマホ。
ホームボタンを押せば表示される時刻は2時30分。
幸人を呼ぶには迷惑極まりない時間だった。
連日の仕事疲れに加えて明日は教師チームとして出場し、空き時間は救護室で体調を崩した生徒の面倒を見たりけがをした生徒の治療までしなければならない。
さすがに、もう寝てるだろうな。
グラウンドの整備もその殆どは教師の仕事なので明日は普段より1時間早く出勤だ。
最後にメッセージだけ送信して、せめて身体だけは休めよう…。
そう思って体を起こし、手早く文字を打ち込む。
”幸人が横にいない。”
深夜のテンションとは恐ろしいもので、多分、こんなメッセージを送ってしまうくらいなんだ。
多少なりともハイになっていたんだと思う。
だが慌てて送信取り消しの操作を行おうとした瞬間、それが出来なくなってしまう。
「…は、うそ……。」
即座についた既読の文字。
読まれてしまえば、なかったことにはできない。
数秒後、軽快な音楽とともにスマホが揺れる。
こんな時間に電話なんてかけてくるような人間は一人。
「もしもし…」
「い、今すぐ横に行ってあげてもいいんだけど!」
興奮気味な幸人の声に思わず吹きだしてしまう。
眠れないのはこいつも一緒……ってか。
「来たいなら来れば?」
そもそも返事を待つつもりもなかったのだろう。
俺の話を聞くのも程々にガチャリと重い扉を勢いよく開け放つ音が電話越しに聞こえた。
小さく笑い、何度もつけては消し手を繰り返した照明をまた明るくして、
脱ぎ捨てた服と半渇きのバスタオルを洗濯機に放り込んだ頃
電話越しに機械的な女性の声で、エレベーターが目的の階に到達したことを知らせた。
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