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渡辺side‥₂
やっと呼吸も落ち着いて、氏原ちゃんも身体を冷やしながら今はベッドで眠ってる。
「おい、昼飯くらい教室で食ってきたらいいだろ。」
「やだ。今日はここがいいの。
氏原ちゃんも心配だしね~。」
「…そ。まあ勝手にしろ。」
否定しないでくれる高木っちが好きだ。
さっきだって、ウチのプライドを優先してくれて
棄権しても怒らなかった。
どうせ教室にいたって、本当の友達なんていないもん。
みんな表面上の付き合い。
皆の輪の中心にいるようで、誰とでも仲が良いようで
だれの1番にもなれない。
それがウチだから。
体育の授業とかグループ作る時はいつも、余りだと思われるのが怖くて「空いたところに入るからいーよ」って余裕そうに笑ってるんだ。
そんなウチが逃げてきたのが氏原ちゃんのところだった。
その日はたまたま保健室を使ってる人がだれもいなくて、少し話してみたら意外と合って
男の人なのに男じゃないみたいに女の子の好きそうな話題も抑えてて、何より話を聞くのが上手だった。
だから、名前は言わずに、担任の先生が好きなんだって話もした。
けれど夏休みから、なんだか氏原ちゃんの視線が怖くなった。
今なら、その理由がわかる。
保健室にあまり来なくなったからか、ほんの少し前の話なのに、もうすでにここが懐かしく思えて、やっぱり落ち着く。
高木っちがベッド脇に座って氏原ちゃんの頭撫でてるのは最強に気に食わないけど。
氏原ちゃんの顔色も、さっきと比べてだいぶ良くなっていた。
寝顔は見惚れちゃうほど美人で、女のウチが嫉妬するくらい。
「渡辺、ここにいんだろ?俺たばこ吸ってくるから保健室の番頼んでもいいか?」
氏原ちゃんを撫でていた手を離し、
それはジャージのポケットに突っ込まれる。
そこにはきっと、タバコとライターでも入ってるんだろう。
「うん!全然おっけ。弁当食べて待ってるよ~!」
笑顔で高木っちを見送る。
ぱたんと閉まるドア。
2人きりの空間。
少し前まで学校にいる中で一番落ち着ける時間だったというのに、今は妙な緊張感を走らせていて。
時計の針の音がやけに大きく聞こえた。
大丈夫。だって氏原ちゃんは寝てるもん。
高木っち早く帰ってきてくれないかな。
氏原ちゃんを起こさないように、持ってきたバッグから音を立てないように弁当を取り出した。
自分の分と、もうひとつ。
これは……高木っちが戻ってきたら渡すんだ。
昨日の夜から下準備して、朝も早起きして何とか仕上げた。
メイクが楽だった分、それだけ盛り付けに時間をかけれたから結構いい感じじゃないかななんて思ったり。
早く高木っちに戻って来てほしいけど、来てほしくない。
ドキドキと鼓動を速める胸に手を当てた。
そんな時
「それ、高木先生の?」
静かな空間
ベッドからシーツの擦れる音と共に、聞き慣れた声が聞こえた。
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