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食ってやれなかった弁当を楽しみに、早くに仕事を切り上げて片付かない分は持ち帰ってきたと言うのに
幸人からはたった一言
”疲れたから今日は休ませて”
………待て。
スタンプや絵文字も何一つ付いていないその一文に
確かに疲れたであろうことは察した。
運動は苦手そうだし昼は一時的とはいえ失神する程の
熱中症を発症したわけだし。わかる。
わかるけど。
疲れた身体は思っていたより幸人の色鮮やかに盛り付けられていたであろう弁当を求めていたようで
ぐぅ…と間抜けな音を立てた。
3件ほどメッセージを送ったが一向に既読は付かず、
痺れを切らして電話まで掛けたがそれにも反応は無かった。
りれーで頭の奥の奥に仕舞い込んだあの記憶が蘇ったからだろうか。
考え過ぎとわかっていても、嫌に冷たい汗は背中を伝い、
心臓はドクドクと激しく動く。
もしかして、何かあったんじゃないか
連絡も何一つなく、俺の前から消えてしまうんじゃないか
またあの虚無感を繰り返すんじゃないか
――いても立ってもいられず、スマホだけ握りしめて俺は家を出た。
運悪くエレベーターは下降している真っ最中で、階段を駆け上がり、幸人の家へと急ぐ。
あいつは用心深い筈なのに、その扉はガチャリと重い音を立て、開く。
その時には既に軽いパニック状態だったと思うが
それに拍車をかけるように荒れた部屋を目の当たりにした
トイレにも、寝室にも、どこにも居ない幸人
キッチンには空になって散らばった弁当箱と捨てられたその中身。
何があったんだよ、どうしたんだ。
どこにいる、何を考えてる、無事でいてくれ
最後に辿り着いた浴室からはほんのりと熱気が漂い、雫の伝う扉を迷う事なく開け放った。
「幸人無事か?!」
そして幸人の顔もまともに見れないまま
心地よい温度のお湯を頭から被ることになる。
し○かちゃんか、お前は。
どこかで聞いた台詞を吐かれ、濡れた全身は急激に冷え、
ようやく冷静さを取り戻した俺は思わず頭を抱えた。
顔をあげて幸人を見ると、ピンク色に火照った顔とその下…首筋にはその存在を主張するように赤々と灯るマーキング。
思えば風呂に入っている幸人なんて今までに一度も見たことがなくて、まっすぐに伸びた髪から伝う水滴は、更に幸人に色気を纏わせた。
状況を把握して行けば行くほど顔は赤く染まり、恥ずかしさでまた下を向く。を繰り返し、そそくさと風呂を出て行った幸人の厚意に甘えてシャワーを浴びさせてもらった。
風呂上りに、余裕な振りをして幸人に近づき、ほんの一瞬ぽろっと口に出してしまったくっさい本音は幸人を茹でタコ化させて
最近調子が狂いまくりの俺まで釣られてダブルタコになるのは言うまでもない。
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