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「…腰、痛むか?」
時刻は午前11時半。
カーテンの隙間からは日の光が差し込み、俺達を優しく包み込む。
そう、俺だけじゃなく、俺達。
ようやく目覚めた俺の隣には小さく丸まった幸人がいる。
これがどれ程違和感があり、妙な緊張感に駆られるか
おわかりいただけるだろうか。
いつも俺が起きる前に、家事や買い物を済ませて
昼飯ができた頃に起こしてくれる幸人が
今日はまだ、俺の隣で横になっている。
理由なんて考えるまでもなかった。
「………動けないんだけど。」
「悪かったってば…。あ、こら。いてて…」
鈍痛に悩まされる腰とは対象的に、意識ははっきりしているらしく、元気に暴れる腕に胸やら肩やらを
なかなかの力で殴られた。
んー。やっぱ男は男。
「誘ったの幸人じゃん。」
「あそこまでとは思ってなかったっ!!!」
「……嫌だった?」
「……………それは…………。」
昨日、昔の話をしてかなりショゲていた俺の気持ちを
一気に雲を突き抜けるまでに上昇させたのは幸人の
ある一言だった。
「…だってお前から誘われるのとか初めてだったし。」
半ば無理やり言わせた事は今までも何度かあるけども。
にんまりと幸人に笑顔を向けると、鼻から下を枕で隠し
涙目で俺を睨みつける。
それを煽ってる…って言うんだけど
自覚ないんだもんな。
俺はゆっくりと幸人の耳元に唇を寄せると、俺の吐息に揺れる髪をかけ、昨日の彼の甘ったるい声を真似して囁いてやった。
「………抱いて?♡」
「もう許さない康明のバカ。」
思いきり頭上にげんこつが降ってきた。
うん、まぁ予想はしてた。
ごめんごめんと謝っても、もう幸人は返事をする気もないようで、くるっと反対方向を向いてまた眠ってしまった。
…寝たふりをしてしまった、の方が正しいか。
昨日の幸人は何だか様子がおかしかった。…ような気がする。
俺があんな話をしてしまったのも原因だろうけど、
話をぶち切って跨って来たと思ったら
いきなりの抱いて発言。
驚いたしクる物はあったけど
すごく辛そうな顔で強請ってきた幸人が
心配でもあった。
眠りが浅い幸人なら、真夜中、俺が眠っている間にも
俺の上で見せたあの顔で、1人悩んでしまうんじゃないかと思って
それならば、いっその事立てなくなるまで犯してしまえばいい
単細胞の俺が辿り着いた、
幸人を1人にしない方法だった。
「んー…悪かったってば。
てか腹減ったな。ハンバーガーとかでいいか?
買ってくる」
ぽふぽふと薄手の布団を叩くと、自分のスマホに向かってもぞもぞとミノムシみたいに這っていく。
もちろん返事はない。
大人しく様子を眺めていると、素早くスマホを操作したかと思えばそれをポイっと投げつけてきた。
訳がわからず首を傾げると、ちらりとこちらに振り返ったピンク色の唇が動く。
「クーポン発券しといたからそれ使って。
ポイントカード聞かれたら、そのバーコード画面見せればいいから。行ってらっしゃい…」
抜かりない主婦だった。
「おー…、すぐ戻るわ。」
「…気をつけてね、よろしくっ」
それだけいうと、再び大きなミノムシは自分の家の中へ
潜り込んでいった。
んー、今日も今日とてしっかり可愛い。
幸せだった。
こんな日がいつまでも続けばいいと
叶わぬことを願うくらいには。
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