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幸人と触れ合いながら、2度目のチャイムを聞く。
今度は本当に戻らないと、俺も次がある。
この一時間、誰も来なかったことが奇跡だと思うが
幸人は案外冷静に俺の脚の上でくつろいでいたから
まる一時間誰も来ない事も多いんだろうか?
幸人を抱え上げて、ようやく立ち上がる。
幸人も一瞬腰がふらついたように見えたけど
立ち上がって俺を送るため入り口の方まで来てくれた。
「…じゃ、頑張ってね。」
トンと背中を押され、幸人との時間が終わりを告げる。
最後にふわりと揺れる髪に手を伸ばし、そのまま引き寄せ
キスをした。
この二人だけの空間だからこそ許される行為。
いや、そもそもは絶対に許されない行為なんだけど。
「…ありがと。」
離れる手を惜しむように幸人の癖毛が絡まって
それを優しく梳いた。
二人を遮る扉が完全に閉まったとき
ふと、ある事に気がついた。
「…ん?……外出中…?」
扉に掛けられた札は外出中を表しており、
今日は何も小細工なんてしていないのにと不思議に思う。
鍵もかけなければ、在室中のまま
保健室でコトに及んだ。
我ながらかなりの怖いもの知らずだと思う。
でもこんな事するのは一体誰だ?
ナル先生は…さっきは授業が入ってたし…。
後ろに振り返ると、柱の影に隠れてバッグが1つ置かれていた。
保健室によく置いてある、黒の布地のシンプルなスクールバッグだ。
へぇ、アイツがねぇ…………。
意外な人物が、俺達の為に気を利かせてくれたらしい。
近づいてくる足音に、ニヤリと口角が上がる。
恐らくトイレから戻ってきたこのバッグの持ち主は
少しだけ顔を赤らめて、ぼーっとしたままこちらに向かってきたが、俺の存在に気付くとあからさまに嫌そうな顔をして、赤い頬を隠しながらバッグを取りにやって来た。
「…よぉ、クソガキ。なかなか気ィ効くじゃんか。」
「…………………そのうち他の先生にバレますよ。」
「この場でばらしゃ良かったものを…小細工までして
協力してくれたのはお前の方だろ。」
かあっとトモナリの顔が赤味を帯びる。
この性格の悪いクソガキも、案外いいやつなのかも知れない。不器用なだけで。
「ま、助かったわ。さんきゅーな。」
「………………つ、次は無いからな!」
「そりゃこっちの台詞だわ。
次、幸人の声聞いてオナったら許さねえ。」
「………んなっ…!!」
蕩けた顔してトイレから戻ってきやがって
気付かないとでも思ったか。
後ろから何か文句を言われた気がするけれど
そんなのお構いなしに、俺は授業のため階段を駆け上がった。
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