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氏原side‥₁
見られたくないもの、
聞かれたくないもの、
そして、知られたくないもの。
人にはいろいろな秘密があると思う。
例えどんなに親密な関係だったとしても。
そして僕は今、親友の隣でそのすべてを暴露されていた。
いや、むしろ自分がした…部分も大いにあるかもしれないけど。
まず、見られたくなかったもの――。
ルナは多分仕事中だろう。
あの頃とは質感も形も違うかっちりしたスーツを着込んでいるのに
どこか華のある姿。
わかる人にはわかると思う。
ルナが以前どんな仕事をしていたかなんて。
次、聞かれたくなかったもの――。
ルナは僕の事を、氏原でも幸人でもなく”サチ”と呼んだ。
僕の源氏名。
幸人の幸をとって、サチ。
適当に決めて、毎夜毎夜呼ばれ続けた名前だった。
そして僕も思わず名を呼んでしまった。
”ルナ”。
僕と同じように、夜の名前。
ちなみにルナは僕の本当の名前を知っているけど、僕はルナの下の名前を知らない。
興味がない……というのが正しかったかもしれない。
せいぜい僕が知っているのは法月という苗字だけ。
せめて僕だけでも、法月と呼べばよかったと後悔した。
そして、最後。
知られたくなかったこと。
これはまだ、バレてはないと思うけど。
僕の前職がどんなものだったのか。
これだけの情報があれば、
察しの良い人間ならそこそこ勘付いていてもおかしくはない。
もし、今隣にいるのが康明だったら絶対にバレていると思う。
見た感じ、心ちゃんは頭にクエスチョンマークが
軽く10個以上はあったから
無理やり理解させるために
一つだけ情報を提供しておくことにした。
ルナは僕の元彼だ、と。
全く嘘ではない。
むしろ、今まで付き合ってきた人の中で一番長く続いたのがルナ。
好きになることは、なかったけど。
とりあえず、これを言っておけば
ピュアな心ちゃんはきっとお互いに愛称で呼び合っているんだとか可愛い勘違いをしてくれるかなと思って。
それに僕が康明の事を好きな事に関して、
特に驚いた様子を見せることはなかったから
なるほどねって納得してくれるものだと思ってたけど…
「ええええええええぇぇぇぇぇええ?!??!?!」
「ちょっと、心ちゃんうるさい。」
うーん、
康明とルナとじゃ少し違ったみたいだ。
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