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時間まで特に何もすることがなく、やる気も起きず、気づけばタバコばかり減っていた。
今頃幸人は何を見て、何を食べて、どんな会話を渡辺と楽しんでいるのだろうか。
なにも返事がなければわからない。
でも自分から何度も連投するのはプライドが許さない。
いつでも幸人の世話焼きな優しさがあったから俺たちのこの関係は続いていたのだと実感する。
「…………はぁ。」
今日、もう何度めかもわからないため息をつき、そろそろ何か来ただろうとスマホを開くけどそこにはやっぱり何もない。
俺のメッセージに既読が付いたままの状態。
これくらい……なんだっていうんだ。
何をそんなに悲しむ必要がある。
わかってる。幸人が今日を楽しみにしていたことくらい。
俺と二人じゃ、外に出ることなんて食品の買い出しくらいしかないんだから。
最後の一本を吸いきってしまい、たばこの空き箱をクシャっと潰すと
音のならないスマホをポケットに突っ込んで家を出た。
家から店までの距離を確認し、歩いていこうと決める。
幸い夕暮れ時になれば、だいぶ暑さも落ち着いてきて、少し冷たい風に吹かれながら影を追いかけて歩くのも悪い気分じゃなかった。
少し早めについた店には、もう数人の生徒が到着していて
なるべく入り口に近い席を取って座り込んだ。
「えー、高木先生もっと中入ってよー!」
「あ?俺はここでいいんだよ。」
タバコ吸いに行くたびに生徒の間かき分けて移動すんのも面倒臭いだろ。
そう言いかけて、そのタバコを持っていないことに気付く。
…………うーわ、最悪だ。
すぐそばにコンビニあったし今から買いに行ってこようか。
そう思った時だった。
「おー!ナベちゃん来た来た!」
渡辺を歓迎する声が聞こえた。
ということは幸人はもう家に着いたのだろうか。
にしては、スマホが鳴らない。
小さく舌打ちをして渡辺が来るであろう入り口を振り返る。
「あ!氏原先生も来てくれたのー?!」
「ナベちゃんいつの間に誘ってたの~??」
「やったー!氏原先生だ!」
…………ん?
「えっと…ごめんね、せっかくクラスの打ち上げなのに…。
飛び入り参加しても大丈夫かな?」
聞きなれた声が、目の前の見慣れた男から発せられる。
………なんで幸人がここにいるんだ?
開いた口がふさがらず、それを見ていた幸人と渡辺に笑われてしまった。
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