アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
203
-
氏原side‥₂
どのくらい眠っていたのか。
夕日が差し込んでいた窓からは細く月の光が漏れ
真っ暗な部屋を優しく照らした。
それに、やけに目覚めもいいし
康明の体温が気持ち良い。
………今何時だ―――?
「っ?!こ、康明!康明!起きて!」
「……………ん…?」
「夜!!!」
僕の大声に驚いた康明は
目はぱっちりと開いたものの、暫くボーっとしてて
それをおとなしく待っているとようやく意識がはっきりしてきたのか
焦点の合わない目を擦って
スマホを覗いた。
「…………うわ、夜。」
驚くのも無理はないだろう
まだ明るいうちに潜ったベッド
目覚めたときは
22時を回っていたのだから。
基本土日はずっと家にいる派の康明が土曜の夜から今日の夕方まで外を出歩いていたわけだから
きっと自分でも気が付かないうちに疲れが溜まっていたんだろうか。
考えてみれば、僕も昨日1日外を出歩いていたのだから、仕事の疲れが取れる事もなかったようで
その結果2人揃って5時間以上も爆睡していたなんて
笑ってしまう。
「…んー、出前でも取るか。ピザ食お」
「え、簡単なものならすぐに作れるよ?」
「いや、いいんだよ。
だってお前折角の誕生日だぞ。」
なんだかんだ康明、僕より楽しんでるんじゃない?
今日、何度か言われたセリフにそんな事を思う。
人に祝われるってこんなに嬉しい
いや、康明に祝われるから嬉しいんだ。
そしてその嬉しさとは対照的に早まる鼓動は
日付が変わるまでの差し迫った時間を嫌という程実感させる。
言わなければ、今日が終わってしまう
今日が終わってしまえば、また言えなくなる気がしてたまらない。
深呼吸をして、何度も頭の中で再生した言葉を思い出す。
大丈夫だ、言える。
今しかない。
目の前でベッドに座り、くあっと欠伸をしている康明を見つめ、覚悟を決めた。
「あ、あのっ康明!
康明に伝えたいことが―――ッ」
ピンポーーーン
「……あ、来たかも。」
ピザが嫌いになりかけた瞬間だった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
205 / 448