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氏原side‥₄
「康明に出会えて
こうして沢山笑えるようになった。
演技じゃなくて、自然に笑えてて本当に驚いたの
いつも何を見ても興味なさそうな顔をしていた康明にも
笑ってほしいと思った。
会う回数を重ねるごと、そんな康明の少しの表情の変化に気づいては、これはしたら喜んでくれることだ、
これはあまりしない方がいい事だ。
そうやって勉強していった。
…隠してた腕も、受け入れてくれて
生きることから逃げないで良かったと思えた。」
「な、なぁ幸人…いきなり何言って―」
「お願い。
……最後まで、聞いて。」
途中混乱した康明を制止して
僕は続けた。
一度口に出せば、留まることを知らないくらいに
想いは大きく膨らんでいた。
「幸音の事…ほんとは、康明と付き合ってたの
知ってたんだ。
幸音が変わってしまったのは”やすくん”の存在があったからだと
本当に最近まで、どこの誰ともわからないやすくんを
物凄く恨んでた。
…でも、康明を知っていくにつれてそんな恨みは消えた。
幸音の事、ちゃんと好きで居てくれてたって痛いほど伝わったから。
………だから、それも踏まえて言うね
僕は――――…」
「お、おい待て幸人!やめろ言うな…」
「僕は、康明が好き。
康明の事が大好き。ねぇ、康明だって
僕のこと嫌なんかじゃないでしょ?
なんとも思ってないような人間と、何度も泊まって
何度もキスやセックスしたりしないよね?
幸音の代わりなんかじゃなく、康明も僕の事、少しはそういうふうに思ってくれてるんでしょ?
もうさ、この関係…終わりにしよう?
僕と、ちゃんと…付き合って。」
言い終わる頃には、康明は
難しそうな顔をして少し顔を赤らめて
照れるのを我慢しているんだと
頭のどこかで思っていた。
それが僕の中で何度も想像していた康明だった。
なのに
「…………やめろよ。そういうの。」
康明の瞳はは驚きを隠せずに揺れていて
くっと傷になりそうな程唇を噛み締めて
「俺言ったよな。誰も好きにはなれねえって。
先週言った事、もう忘れたかよ。
…幸音先輩とお前がどんな関係だったのかは知らねえけど
そのことに関してお前に何も言われる筋合いはねえよ。」
責めるような口調に
低く掠れた声
目も合わせてくれない彼の姿がそこにあった。
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