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一睡も出来ぬまま迎えた月曜は
朝からどんより曇っていて、
まるで俺の気持ちを表すかのように重苦しい湿った匂いに舌打ちをした。
サイドミラーに手を掛けそうになったところでふと、止まる。
もう癖になっていたこの行動。
毎日サイドミラーに掛けられていた弁当は
勿論無い。
幸人の車が既にない、と言う事は
もう作ってくれるつもりもないと言う事だ。
自分のしたことを考えれば当然なのに
それが辛いとか、
苦しいとか考えてしまう自分は相当性格が悪いと思う。
小さくため息を漏らし、車に乗り込んだ。
重たい荷物を後部座席にひょいと投げれば、
スピーカーから流れだす音楽が妙に煩く感じて停止ボタンを押す。
学校までの変わらない道のり
たまに幸人を乗せて一緒に出勤することもあった。
この先、そんなことはあるはずないのに
荷物置き場だった隣は、いつしか幸人のために常に空けておくようになっていた。
幸人の家に置いてあったタバコを取り出し、幸人が助手席のポケットに入れたまま忘れていったライターで火をつける。
ただの、近所のコンビニで買った商品が
こんなに特別なものに感じるなんて
どうかしている
いつでも頭の中は幸人でいっぱいで
学校に着くと無意識に幸人の車を探していた。
…あった。
大きな車の陰になっていたが、
隅に置かれた幸人の車を見つけると少しだけ安心した。
幸人のメンタル的な部分が人より少し弱いのは知っていたから
もし、昨日の出来事が原因で学校に来ていなかったらどうしようかと心配だった。
あんまり、無理はしないでくれ。
…無理をさせたやつが言えた事じゃないけど。
幸人に届かない声で呟くと、
寝不足で少し重たい体を強引に押し進め、校舎に入った。
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