アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
210
-
渡辺side‥₁
昨日の夜から、ゆきちゃんと連絡が取れない。
”うまく行ったらウチに1番に報告してよね!!”
そういったのは、2人の気持ちはとっくに繋がっているだろうと思ってたから。
ゆきちゃんがこの学校に来てから、明らかに変わったのは高木っちの笑顔。
仮面を張り付けたような、作りこまれた微笑みを向ける姿は何度も見ていた。でもゆきちゃんがきてから、高木っちはたまにだけど、本当に楽しそうに、幸せそうに笑うことがあった。
声を出して笑う姿を初めて見たときは本気で驚いて、
高木っちはずっと年齢詐称してると思ってたけどやっぱり22歳なのかもしれないと思う瞬間だった。
そして、そんなあったかい笑顔の高木っちの隣には
いつだってゆきちゃんが居た。
それを見て、別に嫉妬するわけでもなければいつの間にかウチまで笑顔になっていた。
だって、ウチの大好きな人がこんなに笑ってるんだから
ウチの出る幕はないし
ゆきちゃんが高木っちの事ものすごく好きなのは見ていてわかったし
だったら、ウチみたいにこうやって、
今も補習になって化学室に向かってるようなバカよりも
ゆきちゃんみたいに優しくて賢くて、
体調を崩したときもちゃんと看病できるスキルを持った人の方が
高木っちを任せるのも安心~なんて。
もしかして、ウチは高木っちに恋愛感情を抱いているわけではなくて親心的なものだったのかもしれない。
土曜日の打ち上げで見た
あまり感情を表に出さない高木っちの、
ゆきちゃんと並んでたウチに対す明らかな嫉妬のような鋭い視線や
そのあと咄嗟に掴んでしまった腕を離さないで済む口実を考える仕草。
ほんの少し、胸がギュって苦しくなったけど
嬉しかった。
ゆきちゃんと、幸せになってほしいと思ったんだ。
なのに、ゆきちゃんは返事をくれない。
一番に教えてくれるって言ったのに、だ。
だから、ウチから催促するようなメッセージは流石に送れなかった。
高木っち、どうして?
ゆきちゃんの事、好き……なんだよね。
ゆきちゃんが居るから、ウチの決して叶う事のない高木っちへの想いはようやく落ち着いてきたというのに。
こんなんじゃ、ウチまた高木っちの事が―――…。
「おー。…やっと来たか、全教科赤点女。」
「な…………う、うるさいし……。」
化学室で待っていたのは
目の下にクマを作って
真っ青な顔して頭を押さえる高木っちだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
212 / 448