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渡辺side‥₃
「…なあ、お前聞いてる?」
「え、も…もちろん!」
「じゃあ俺さっきなんて言った?ここ解くときに使う公式。」
「………それは~…」
高木っちはどうやら上の空のウチに気が付いていたみたいで
大きくため息をついて席を立った。
「今日はもう終わり。
お前に集中力ないのにやってたって意味がねえ。
帰っていいぞ。」
高木っちの声は少し不機嫌で、ここは下手に引き留めるよりも高木っちに従って帰る方が得策だと思い、ウチも合わせて席を立った。
それに高木っちさっきよりも、辛そう。
勉強見てもらってた時も、
下を向いているのがつらいのか、
たまに上を見て、こめかみのあたりに手を置いたり。
決してアピールしてくるような性格じゃない以上、
それはかなり頭痛がひどいことを表す。
「高木っち頭痛?結構痛いの?」
「ん、あー…少しな。寝たら治る。」
何が少しだ、ばか。
自分の鉄仮面の崩れっぷりをわかってないんだろうか。
「ウチ、頭痛薬持ってるからあげるよ!ちょっと待ってて!」
いてもたってもいられず、
高木っちの返事も待たずに走り出した。
…とはいうものの、ウチが頭痛薬を持っているわけじゃない。
”持ってきてあげる”なんて馬鹿正直なことを言ったら
頭のいい高木っちは何かに気が付いてウチを止めるかもしれないから。
…自分で振っといて、何をそんなに
ダメージ受ける必要があるのか。
心配かけたくないとか言ってたら高木っち確実に早死にするわ、こんなの。
自分で気づかないのか気付かないふりなのかウチにはよくわからないし、聞く気もないけど
もうとっくに、ゆきちゃんなしじゃ生きられないくせに。
ウチは階段を降り、ある場所を目指して走った。
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