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トモナリside‥₂
誰もいない家に帰ると、珍しく固定電話がコールした。
「…はい、兎毛成です。」
『家電の番号変わってなくてよかったー。
ひさしぶり。兎毛成。ウチだけどわかる?』
「…久しぶり。」
『今、保険室登校してんの?』
「…うん、まぁ…。」
『今日さ、ゆ……氏原先生の様子、どうだった?』
「…どうって…。別に、普通。」
『本当?』
「強いて言うなら……あいつの話、した時だけ
元気なかった…。」
『……あいつって…?』
「……ナベのクラスの担任だよ。」
『…そっか。』
「…ど、どうか……したの?」
『うん、ちょっとさ…兎毛成に頼みたい事があって…
〜〜〜〜……』
「え…そんな事するの?だ、ダメだよ…。」
『お願い。このままじゃだめなの。
兎毛成だってわかるでしょ?…あの2人はきっと
運命の糸で結ばれてるんだから…っ。』
「…も、もぅ。わかった!でも…1つだけ言っておくね?
僕は氏原先生が好きだから。
あいつが来なかったときは……容赦しないよ。」
『……………わかった。』
「金曜日の放課後だね。」
『うん。……よろしく。』
話すのは小学校ぶりだった
当時はお互い、周りから煙たがられた残り物同士。
自分を変えて、輪の中心に居場所を作ったのは
僕より年下の、僕より努力家のナベの方だった。
数年ぶりの電話越しの声は、ナベの声なのに口調も勢いも変わっていて、僕だけが取り残されたような感じがして怖かった。
そう、僕は
何も変われないまま。
…それなら、ナベの言うとおりにして
誰かの為に動くのも、自分を変えるきっかけになるのかな
なんて
思ったんだ。
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