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氏原side‥₂
何事も始まりは突然で、当然の流れといえばそうだけど
ひょいっと取り上げられた箱はベッドサイドに置かれ、
優しいキスが降り注ぐ。
それは額、瞼、鼻の頭、頬の順に降りていき、
最後に唇に触れたかと思うと、次いで熱い舌を這わされて、拒む気なんてさらさらない僕の口内は簡単にそれを受け入れた。
「…ん、んっ………ふは……ぁ…っんぅ…」
深く、激しいキスは、それだけで身体がくたくたになるほど気持ち良くて
薄く目を開くと、扇情的な康明の顔が視界すらも犯す。
今までと、同じなようで違う。
全てが、恋人になってから初めての行為。
カーディガンのボタンを慣れた手付きで外す姿にまた、興奮する。
既に中心部には隠しきれない熱が溜まっていて、ボタンを外す彼の手が時折僕のそれを掠めた。
気付いていないわけがないのに、そこに触れないのは多分わざとで、触れてもらうためには僕がどうしてほしいのか、ちゃんと伝える必要がある。この口で、言葉にして。
康明の手はカーディガンを開くと、2,3ボタンの取れたシャツをいたわる様に撫で、少し悲しそうな顔をした。
「…何も…、変な所は、触られてないから…。」
僕が兎毛成君に手首を掴まれ、押し倒されていたときの
彼の涙を思い出す。
悲しんでくれたのか
悔しんでくれたのか
何の涙だったのか…それは本人にしかわからないけど、僕の事を思って流した涙である事に違いない。
それなら、少しでも康明に降りかかる不安を減らしてあげる。僕はもうずっと、貴方だけのものなんだよと
言い聞かせる代わりに、シャツに触れる手を持ち上げ、手の甲にキスを落とした。
「…………幸人…、痛く、なかった…?
怪我はしてない…?」
「うん…、大丈夫だよ。あの二人なりに、僕らの事を思ってしてくれた事だから。傷付けようなんて思ってなかったはず。」
「……そ、か…。」
そう言うと、康明はやはり僕の肌には触れず、
シャツの上から何度も何度も腹部や胸を撫でた。
そのもどかしさに、傷痕なんてわざわざ隠す必要は無いんじゃないかと思いだしたのはいつからだろう。
この腕を見ても態度を変えず
嫌いになるはずが無いと断言してくれた彼ならば、もう、いいんじゃないだろうか。
ぷち、ぷちとシャツのボタンを外す僕を見て、康明は驚きを隠しきれていない。
兎毛成君に、ひとつだけ文句を言うとしたら
康明よりも前に、僕の身体を見ないでほしかった。
これに尽きる。
「……康明、ちゃんと………直接触って…?」
ゴクリと唾液を飲み込む音が聞こえた。
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