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月曜の朝、起きれば当たり前のように用意されている朝食。
今日は大根の味噌汁と出汁巻き玉子らしい。
…ってことは、弁当にも玉子が入ってるんだろうか。
今日はシソか、ネギか、シーチキンか、それとも渡辺に習ったらしい甘いものか。朝食をとりながら既に弁当の中身を想像するなんてデブか、俺は。
天気予報を見ながらボーっとしていると、洗濯物を干し終えた幸人がリビングに戻ってきた。
「おはよ、康明。」
「んー…はよ。」
いつもはもっと早くに家を出るはずの幸人が、この時間まで待っていてくれるのは俺の車が学校に置きっぱなしだからだ。
金曜の放課後、あまりの寝不足で意識を失うように眠っていた俺を気遣い、幸人がここまで俺を乗せてきてくれた。
勿論、週末は片時も離れることはなかったので俺の車がなくても何の問題もない。
毎日毎日飽きもせず、通学中に怪我をする子がいるかもしれないとか言ってかなり早めに家を出ているようだけど、こんな風に俺を待っていてくれると思うと何とも言えない優越感に包まれる。
「…ねえ、早く食べて。」
「うっせ。恋人の手作り味わってんだから急かすなよ。」
「……うぅ……。」
恋人とか、やっぱり幸人の作る飯がうまいと言えば、幸人はなにも言い返せなくなる。だから今も例外なくそうして、時間ぎりぎりまでこのくだりを引っ張るつもりだ。
けれど、幸人は照れ屋な部分もあれば、オカンな部分も持ち合わせている。このやり取りが成立するのもあと5分が精いっぱいといったところだろう。
…週の始まりからオカンの雷を食らうのもごめんなので、味わうのも程々に、朝食を終えた。
俺の車より、一回り小さい幸人の軽自動車は
身長の高い俺には少しばかり窮屈で、座席をいっぱいまで後ろに下げた。
「俺用にこのシートの位置キープしといて。」
「はいはい。」
「他の奴あんまり乗せんなよ。」
「乗せないよ。」
恋人になった途端我慢することをやめた独占欲は、こうして徐々に幸人の自由を奪っていくのかと思うとぞっとする。
何も気にせず話しかけたこの二言ですら、幸人の行動範囲に規制をかけていることに気付く。
いつか、そんな俺が嫌になって、耐えきれなくなって離れて行ってしまうんだろうか。俺はまた一人になる時がくるのだろうか。
「ごめん、幸人。……多分俺、めっちゃ嫉妬深いし縛りまくる。」
不安に駆られてつい出てしまった俺の本音。
幸人は驚くでも怖がるでもなく、前を向いたままあははと笑った。
「康明になら、何されたって嬉しいよ。例え物理的に縛られたとしても、康明がそばに居てくれるならたぶん僕喜んでると思う。」
なんてことない顔をして、その口から発せられる言葉の意味は過激なもの。いつまでそんな事を言ってられるだろう、とか
考え出せばきりがないのは知っている。
だから
「おー、あれ気に入ってたのか。じゃあ今度は全身拘束プレイでもするかー。」
「ねーぇー!」
ありがとうの代わりに、悪態をつく俺だけど
幸人はそんな俺の事も、全部わかってくれていると思うから。
君を、信じようと思う。
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