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『お前の高校からメールが来てな。』
「は?どういうことだよ。」
『文化祭の出演依頼だ。』
文化祭の説明は受けていたのでゲストライブが行われること自体は知っていた。でも俺の耳が正常なら、学校で当日までのお楽しみ…って言われた気がすんだけど。
「でもお前顔バレすんぞ。」
『俺を誰だと思ってるんだよ。
バレないに決まってるだろう。』
………あぁ、忘れてた。こいつは昔からこういうやつだった。
確証なんてみじんもないのにこの自信。
ブレない俺様な態度に嘲笑うような話し方。
「体調は大丈夫なのかよ…。」
『ま、問題はそこだけだな。』
出会った時から身体の弱かったRickyだが、今も相変わらず定期的に病院に通いながら仕事をこなしているらしい。
『保健室のやつは話の分かる人間か?』
Rickyの考えは多分、多少調子が悪くてもライブの後に休める場所があれば問題ないと、そういう事だろう。
保健室のやつ…というのは幸人の事を指すと思う。
話が分かるどうこうの前に、俺の言う事なら何でも信じて疑わないようなやつだ。
一つだけ心配なのが…。
「理解はあるけどミーハーだぞ、あいつ。」
俺が余計な事口走ったせいで、幸人はもう電話越しのこいつの歌声に完全にやられている。
自分の車の中で流すのは勿論、俺の車に乗っていてもナチュラルにCDを取り替えたり、料理を作りながら鼻歌を歌っていたり。
「Rickyの熱心なファンだぞ、保健室の先生は。」
『おぉ、さすが俺だな。』
……。
………………もう俺こいつと話したくない。←
『とにかく、俺の休める場所だけ確保してくれよ。』
「だから何で俺…。校長にでも相談すればいいだろ。」
『お前何言ってんだ。俺が病弱だなんて格好悪い情報が世に出回ってみろ。恥ずかしいだろ。』
なんなんだ、この最上級の強がり男は。
メディアに一切情報を明かさないのももしかしてそんな理由か?
「あのなぁ…」
『頼む、高木。お前にしか頼めない事だ。
…メールが来た時本当は断るつもりだった。
でも調べたらお前が働いているところだった。
お前なら頼れると思って返事をしたんだ。』
「……はぁ。わかったよ。
何とかしとくから、無理だけはするなよ。」
『あぁ、すまない。よかった…高木が居てくれたからステージに上がることが出来る。
ありがとうな。』
あぁもう。本当に、俺はこいつが嫌いだ。
利用されているのか、頼られているのかわからない。飴と鞭がうますぎる。いや、ツンとデレと言ったほうが正しいか。
この世で絶対に俺が敵わないのは、幸人とこいつの2人だけだ。
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