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氏原side‥
大切な話があると告げられた僕は、誰もいない部屋で一人、康明の帰りを待っていた。
帰るのが少し遅くなりそうだから、合鍵を使って先に入っていてほしい、と連絡が来たのは6限が始まる少し前。
初めて康明からの誕生日プレゼントを使わせてもらった。
じっとしているのもなんだか落ち着かなくて、
部屋を片付けたり、残りが少なくなってきた生活用品をメモしたり。
こんなんだから康明にオカンっていわれるんだよなぁなんて思いつつ、
ごそごそと家の事をしているうちに、
ガチャンと鍵の開く音がした。
「ただいまー。」
「おかえりなさい!」
このやり取りはなんだか照れる。
本来僕は「お邪魔します」が普通のはずなのに。
「お、なんか部屋片付いてんな。」
「あ…暇だったからつい…。」
「んー、助かる。ありがとな。」
康明はクシャりと僕の頭を撫でて、優しく微笑んだ。
ジャケットをハンガーにかけ、大きく伸びをする康明の姿をじっと見て居ると、それに気が付いた康明が不思議そうに首をかしげる。
「何かついてるか?」
「え、あぁいや…。大切な話って…
なんだろうなって思って。」
なんて。
確かにそれも気になるけど、今はただ単に康明に見惚れてました。
そんなこと流石に恥ずかしくて本人を前にして言うことはできないから、あながち嘘でもない無難な返答をしておく。
すると康明は、あぁ!と思い出したようにつぶやき、
まじめな顔して、僕の肩を両手で掴んだ。
「それより腹減ったから、先に飯。それから。」
「………はいはい。」
今日も僕の恋人はマイペースだ。
簡易サラダの上に康明が来る前に茹でておいた鶏肉を乗せ、胡麻ドレッシングをかけた棒棒鶏。
ごま油を少し垂らして中華風にしたわかめスープが温めまれば、本日の夕飯が出来上がる。
片手にビールを持ちながら
美味しそうに棒棒鶏を頬張って
ビールを煽って
「うめぇ~」って幸せそうな顔する。
そんな康明は今日もいつも通り格好良くて可愛くて
でも少しだけソワソワしてる。
「なあ、他に何か食えるものある?」
今日は珍しく、食欲があるようで、康明からお代わりを要求してくることはほとんどないから驚いた。
「んー、ウインナーとか玉子ならすぐに出せるけど…。」
「なんでもいいよ。もう少し食べたい。」
少し考えた後、明日の弁当用に切り込みを入れておいた赤ウインナーを取り出した。
お皿に移してテーブルに持っていくと、
それを頬張る康明が可愛い。
吸い込むようにテーブルに並べられたものを食べ終わったかと思うと、康明は”大切な話”が始まることもなく、お風呂に消えて行ってしまった。
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