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「幸人…。さっき言ってた話だけど―…。」
冷たいお茶をグラスに注ぎながら、ようやくその話題に触れる。
幸人が座るソファーに自分も腰掛けて、ぐっと一気にお茶をあおった。
「文化祭の日、保健室のベッドを貸してやってほしい。
ゲストでうちの学校に来る…Rickyに…。」
おそるおそる幸人を見る。
きらっきらの目をして嘘!!Ricky?!Rickyが来るの?!とか言ってくるんだろうと覚悟を決めたんだが。
「え、なに。待って、どういう事、ちょ、ちょちょちょ。降臨?え、なに意味わかんない。り、りりり…り?舞い降りてくるの?何言ってんのか全然わかんな……」
何言ってんのかわかんないのはお前の方だと突っ込んでやりたい。
俺が思っているよりかなり重症だったらしい幸人はまさかのRicky神扱いだ。降臨ってなんだよ、舞い降りるってなんだよ、あいつ一応人間だぞ。おいおい。
ヤキモチどころの騒ぎじゃなかった。
とりあえず当日は幸人が興奮のあまり失神しないよう見張らなければならない。
「とにかくそういうわけなんだ。あいつ昔から少し体が弱いから、万全の状態を取っておいてやりたい。お前にしか頼れないってあいつが言ってたからさ。俺も――…。」
「待って、お前にしか頼れないって何、ねえ、え。僕?僕なの?そこ僕出てくるの?やばくない?Rickyやばい。僕頑張る。めちゃめちゃ頑張る。任せてって言っといて。」
ああ、言うべき言葉を間違えた。
思わず頭を抱えるけど、そんなこと知ったこっちゃない幸人は妙に張り切って腕をぶんぶん振り回す。
今まで芸能人やミュージシャンをそこまで熱狂的に応援したことのない俺としては、幸人の気持ちが全然わからないんだけど、幸人がこんなに楽しそうにしているのを見るのも珍しいから
まあ、よしとしてやろう。
一つだけ不満があるとしたら、この笑顔の理由が俺ではなく、Rickyだって事だけだ。
その晩、夜通しRickyの事を聞きまくられた。
どうしてRickyがゲストだって知ってるのかとか
どうして連絡先を知っているんだとか
学生時代の事から根掘り葉掘り。
それに対して俺が答えられることは勿論答えたけど、本名と連絡先だけは教えてやらなかった。
翌朝、完全に寝不足で頭痛に悩まされる俺をよそに、すっかりハイテンションの幸人は朝食だというのにカツ丼を作って置いて行きやがって、美味しかったけど朝からカツ丼は勘弁してくれとメッセージを送っておいた。
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