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兎毛成side‥
「何の話?俺も混ぜろよ。」
そういって入ってきた氏原先生の彼氏の目は、完全に据わっていて
オーラも何もかも真っ黒。
こんなに笑顔が怖い人見た事ない。
何で授業中にこいつが保健室に来てるのか、とか
何で氏原先生はこいつの独特の足音に気付かなかったのか、とか
わからないことはたくさんある。
たくさんあるけどその中で一つだけわかる事がある。
それは
「…文化祭、そんなに楽しみかァ…。氏原せーんせ。」
こいつがとんでもなく怒っていると言う事だ。
「うん!!楽しみだよ!!だってもうすぐ会えるんだもん……っ」
「ほぉ…。」
感極まったように両手を胸の前で組む氏原先生を見て、目の前のお化けとか猛獣よりも遥かに恐ろしい顔をした男がニコニコ笑う。
ねえ、氏原先生、そろそろやめた方がいいよ。
僕知らないよ、ねえ。
氏原先生の袖をクイクイって引っ張りながら囁くけれど
どうやら僕の必死の訴えは、脳内がお花畑になってる氏原先生には届かないようだ。
「いや~、でもなぁ…そんな、頼られちゃったら…ねえ?さて、兎毛成君、保健室掃除するの手伝って!
綺麗にしておかなきゃ!!
………あ、そういえば康明。何の用だった?」
氏原先生それはダメだよおおお
完全に刺激しちゃってるよおおおお。
アイツついで感丸出しじゃん、嬉しいけど嬉しくない状況だよ何これ。
ほらほら、あいつの笑顔がぴしゃって消えたよ、何で気付かないの?この人。
やばくない?彼氏でもなんでもない僕でもわかるよ?
この空気のヤバさ!!
うわあ、すっごくここに居たくないんだけど。
帰りたくなってきた。
「……絆創膏、欲しくて来た。」
「絆創膏?えっ、康明もしかして怪我したの?!」
「いや、生徒…。」
「ああ、今文化祭の小道具作ってるんだっけ?
気をつけなきゃだめだよ~?」
「んー。」
ほらほらぁ、めっちゃいじけてるじゃん…。
氏原先生ってよくわからないところで鈍感だから
それが狙ってるのか天然なのか僕にはよくわからない。
とにかく今は、自分と自分の彼氏のテンションの温度差に気付いてほしい。
その後、あまり話すことなくあいつは教室に戻って行ってしまった。
あいつの事は嫌いだし敵だと思ってるけど、
この時ばかりは可哀そうだと思った。
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