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氏原side‥
明日に差し迫った文化祭のため、僕は慌ただしく保健室の掃除をしていた。
人が走り回る部屋ではないから、そんなに汚れるわけではないけど、Rickyが来るとなると話は別。
もし引き出しを開けられたとき、整理整頓のできないだらしない人間だと思われたくないから、薬棚から着替えのジャージを入れてあるクローゼットまで、くまなく片付けをしていた。
するとノックすらせずにパーンとドアを開け放ったのは僕の親友。その顔はなんとなく不貞腐れている。
「心ちゃんっ。どうしたの?」
「どうしたもこうしたもない!ゆきちゃん!!!」
えぇ?!なんでいきなり喧嘩腰なのこの子は…。
ちょっとよくわかんない。これが康明がよくいってる”ガキの考えはわかんねー”ってやつ?でもそれじゃまるで僕がオッサンなのを認めたみたいじゃ……わああ何考えてるんだ僕。
「こころちゃん…随分とお怒りだね…?」
「あったりまえでしょ?!」
えええ…やっぱりわかんないって。
何を怒ってるの…
そもそも今日は心ちゃんと話すのはこれが初めてだし、保健室に入ってきて早々こんな勢いよく迫られる理由はないと思うんだよね…。
「てかさぁっ、なんでウチが怒ってるのは気付くのに高木っちが元気ないのは気付かないの?!ゆきちゃんのばーか!」
「え、ええぇ…?」
怒る理由が自分に関係ないのはズルい心ちゃん!
行ってくれなきゃ全然わかんない!
っていうか康明が元気ないって何…?
だって毎日一緒にご飯食べて、眠って、起きてご飯作って…
同棲みたいな事してるのに康明が元気ないなんて思ったことないよ…?だってこの一週間、沢山会話もした。
Rickyと昔はどんな関係だったのかとか、Rickyの性格、口癖、音楽を始めた年齢や、自分で曲を作り出したのはいつからとか。康明は「さぁ?」とか「しらねー」とか「もう寝る」とか言ってちゃんと会話のキャッチボールも出来て…………
…………できて、ないかも…。
やばい、僕自身興奮しすぎて康明の事そっちのけで話を聞いてもらいたいだけの奴になってた。これはしまった。恋人としても大人としても男としても養護教諭としてもかなりアウトなやつだ…。
「心ちゃん、ごめん。僕心を入れ替える…。あ、ごめんダジャレみたいになった…。」
「そういうイジりいらないから。
で、何がいけなかったか気付いた?」
「うんっ!!ちゃんと気付いた!でも明日大好きな人に会えるから美容院予約しちゃって…。今からキャンセルするのはもったいないから仕方ないよね、うんっ!」
心ちゃんの盛大なため息の理由に、僕は気付いているようで気付いていない。小さな声で心ちゃんが「高木っち可哀そう…」って言った気がするけど多分気のせいだろう。
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