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最悪な一日②
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嫌々声のする方へ顔を向けると、そこにはクラスメイトで委員長をしている真堂瑞希が、胡散臭い笑みを貼り付けて手招きをしていた。
「ちょっと話があるんだけど、いい?」
きっと周りは『あの真堂くんが都築に一体何の用だ』と思っているのだろう。俺も全く同意見だ。
成績優秀で人望も厚く、そして容姿端麗と、何もかも恵まれた真堂。
不良だなんだと噂されている俺と今まで接点など無かったのに、今更どうしたと問いたい。
「……何?」
「ここじゃ話せないから、来て」
「ちょっ、え?!待っ……」
手を引かれ慌ただしく立ち上がると、そのまま有無を言わさず教室の外へと飛び出した。
どんどん進んでいく真堂の背中を見ながら、この顔の痣のことや喧嘩の噂のことで注意されるのだろうな、とぼんやりとした頭で考えた。
「おい、どこまで行くんだよ」
「人のいない所」
「別に注意するだけなら、どこでも出来るだろ」
「……注意?違うよ」
馬鹿だなぁとでも言わんばかりに眉を下げているのを見て、益々謎が深まった。
廊下をすれ違う奴らの視線が痛い。もうどうでもいいからとりあえず手を離してくれ。
「ここにしようかな」
そう言って立ち止まったのは多目的教室の前。
訳が分からず目を白黒させていると、先に教室の中へ入った真堂が『入りなよ』と更に力強く引き寄せてきた。
……本当になんだ?
妙に早まる鼓動と静かな彼が、やけに気味悪い。
固唾を飲んで目の前で起こる一挙一動を眺めていた。
鍵を閉め、彼がこちらに向き直った時、いやそれよりも前にはもう既に警鐘は鳴っていたのかもしれない。
それなのに、全く気付かずのこのことこの場にやってきた俺を嘲笑うかのように、彼は口角を上げながらじっと見つめてきた。
「昨日、どこにいた?」
「…どこ、って……」
何を言われるのかと思ったら。
昨日は………
友達以上恋人未満とは言い得て妙だが、つまり都合の良い関係、セフレと言われる存在の奴に急遽『会おうよ』と誘われ、新宿の繁華街で待ち合わせた。
飯だけ食べてすぐに帰ると約束したのに、ホテル街に入ろうとしていたので抵抗したらボコボコに殴られ、虚しくも無理矢理抱かれた。
それが死ぬほど忘れたい昨日の出来事。
そんな事を雄弁に語れる筈も無く、『家にいた』と嘘をついた。
「……昨日、都築くんのこと見たんだよね」
心臓が途端に跳ね上がり、全身から嫌な汗が浮かんでくる。
嘘だ、あんな所に優等生の真堂がいる訳ない。
きっとこれは脅しに違いない。何を企んでいる?
「……俺はずっと家にいた」
「ああいうのが趣味なの?SMプレイ的な?」
恐る恐る真堂の顔を見ると、全て見透かしたかのように俺を見下ろしていた。
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