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逃さない②
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都築尚央。
いつも顔に痛々しい痣や傷を作って学校にやって来る彼は、影で『喧嘩が絶えない不良』だとか『実はヤクザの跡取り』だとか色々な噂を囁かれていた。
あの綺麗な顔だ、初めこそ女子が寄ってきていたがまるで相手にしていないのを見て、何か事情があるのかとただ漠然と彼のことが気になっていた。
不良だ何だと騒がれる割には授業にしっかり出席しているし、学校で誰かに暴力したりなんて場面は見たことないから余計に。
ある日、暇を持て余していたので性欲処理にはなるかなぁ程度の軽い気持ちで女の子とホテルに行った。
学校では真面目でみんなの人気者を装っている僕だが、本性は腹黒いし、性格がひん曲がっているのを自覚している。
だから演技を続けるのも大変なのだ。憂さ晴らしに学校外で遊び呆けている所で、たまたま都築の姿を見たのだ。
男と歩いていた。
その男も、俳優業でもやっていそうなスマートでクールな印象を受ける人で、二人は街中で目を引く存在だった。
本当は良くない事だが、余りに物珍しい光景だったので自然と携帯のカメラを彼らに向けていた。
すると突然、何が起きたのか大声で揉め出して、都築が顔面を殴られていた。
大変だ、都築が反撃する前に止めないと。と思ったが彼は慣れているかのようにしゅんとしおらしくなり、やがて二人はホテルの中へと姿を消した。
……なんだこれ?
二人はどんな関係なんだ?
モヤモヤと色々な感情が心の中で渦巻いた。
そんな時に学校でまた彼の姿を見た。
いつも通りの痛々しい様相。それに加えて、首元にくっきり残るキスマーク。
儚げに伏せられた目には、情欲を掻き立てるような色香さえ漂っていた。
もう一度言うが、僕は性格が根からひん曲がっている。ここで在らぬことを考えてしまったのである。
『綺麗だなあ』
『今にも壊れそうだ』
『壊してしまいたい』
と、ジリジリと胸を焦がすような、言葉に形容し難い感情が生まれ出てきた。
こうなってしまったら運の尽き。
一度スタートダッシュを切ってしまえばもう止められない。
彼を手に入れたい。
僕のこの手で懐柔して、あの綺麗な顔をグチャグチャに歪めたい。
逃さない。
いや……もしかしたら、僕の方こそ逃れられないのかもしれない。
彼の魅力に取り憑かれてしまったから。
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