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甘い君②
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怖くなって人気のいない所へ逃げ出したら、屋上へと続く東階段の踊り場まで行ったところで、運悪く行き止まりだった為に追い詰められてしまった。
屋上の扉は、自分の行く末を示しているかのように固く閉ざされている。
上がる息を沈めながら、ジリジリと真堂から距離をとると、あっという間に腰を抱いて顎先を持ち上げられた。
「離せっ……」
「暴れないでよ、シャツが破れちゃう」
必死の抵抗で真堂のワイシャツの襟首を掴んで揺らしたが、毛ほども響いていないのか優しい声で宥められた。
「変なこと考えてると思ったら案の定じゃねーか……」
「あんな顔するナオが悪いよ」
「はぁ?クリーム舐めただけだろうが!
何でも変態思考に変換するのやめろ、この色ボケ野郎!!」
そう毒づくと、真堂の片眉がピクリと動いて吊り上がった。
癇に障ったようだ。顎先を掴む彼の手に力が入る。
「ちょっと待っ……ンッ……い、いや…」
かぶりつくようにキスをされる。
荒々しく舌が侵入してきて、それを追い出そうともがくが下腹部を撫でられ、情けない声が漏れた。
角度を変えて上唇の裏や歯列をなぞられる度、ビクビクと肩が揺れた。
「はぁ……あ、ん…っ」
「そんな色ボケ野郎に鳴かされる気分はどう?」
顔がみるみるうちに一気に紅潮する。
自分で言っておいて恥ずかしい気持ちにさせられるとは思ってもいなかったから。
舌を強く吸われ、くぐもった甲高い声が上がる。
まるで自分のものではないみたいなその声が、耳の中で反響した。
不思議な感覚だ。
体と気持ちがまるで別のところにいるような、別人格の自分がいるような、浮遊感にも似たその感覚。
ぼうっと惚けていると、真堂が舌舐めずりをしながらそんな俺をじっと見つめているのに気が付く。
「甘い味がする」
「………は?」
「ナオのキスはいつも甘いんだ、虫歯になっちゃうくらい」
鼻先を首元に埋められる。
スンスンと犬のように匂いを嗅がれるのがくすぐったい。
「どこもかしこも甘い匂いがして美味しそう」
「も、くすぐったいからやめっ……」
「……食べちゃおうかな」
ギラギラ光る獣のような瞳。
この目だ。この目で見られた時、俺はいつも心臓を鷲掴みにされたかのように動けなくなる。
弱々しく否定するも、鎖骨に歯が突き立てられた。
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