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リアル⑥
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気付けば俺は真堂に促されるまま車に乗っていた。
黒の高級車を運転しているのはどうやら彼の家の使用人のようで、これまた高級そうなスーツをかっちりと着こなしていた。
「あ、の……俺、下……裸なんだけど」
「だから車を呼んだんでしょ」
「そういう事じゃなくて……」
カッと顔が熱くなる。
どういう拷問だ、これ。
たじろいでいると、真堂は俺の言いたいことに気付いたのかふわりと笑ってみせた。
「なんだ、そういうことか。平気だよ。
下半身丸出しで車に乗るのは気が引けるよね」
「そんな直球で言葉に出さなくてもいいだろ…っ!
つーかパンツくらい履かせてくれたって……!!」
「ふふ、恥ずかしいの?可愛い」
『君のことだったら何でも許せちゃうからなぁ』と太ももに手を置かれる。
こいつ、使用人の前で小っ恥ずかしいことをよく言えるな……
その使用人が敢えて俺らのことに触れてこないのが余計恥ずかしい。
「それより、今からどこに行くんだ?」
「父親が借りてるマンション。今日はそこに泊まろう」
「え?!」
「あんなことがあったんだ、何があるか分からないし…ナオも嫌かなと思って」
俺はそんなヤワじゃない、と言いたい所であったが、
三好に襲われ、恐怖で全く抵抗出来なかったことを考えると、その優しさは正直有難かった。
「じ、じゃあお言葉に甘えて……」
「初めてのお泊まりだね」
「?!」
置かれていた手がツツ、と内腿を撫でた。
驚いて拳を振り上げたが、呆気なく避けられる。
その瞬間、熱を孕んだ真堂の瞳と目が合い、鼓動が早まるのを感じた。
顔がゆっくりと近付いてきて、固く目を瞑る。
しかし、使用人のわざとらしい咳払いと『もう少しで到着致します』という一言で、来ると思っていたあの感覚は訪れなかった。
「もう着くんだ、早いな。エントランスじゃなくて駐車場の方から回ってくれる?」
「かしこまりました」
息を吐きながら、胸の高鳴りを抑えるように外の景色を眺める。
気付けば周りはマンションや高級住宅街が建ち並んでいて見慣れない景色にソワソワと居心地が悪くなる。
その中のとある1つの高層マンションの地下にある駐車場へと車は進んで行った。
「じゃあ、行ってくるね。送ってくれてありがとう」
「はい、お気を付けて」
使用人に礼を言い、先に降りていく真堂に続いて降りようとしたが、彼に制止される。
何故だろうと思っていたら、わざわざ俺の方まで回って扉を開けてくれた。
と思ったら。
「ぉわっ?!??」
「行こっか」
お姫様抱っこのような形で軽々と抱き上げられたではないか。
不安定な体勢と人目の少ない場所と言え男に抱き上げられている事実から逃れたくて、ジタバタと手足を動かして暴れる。
「ぃ、い嫌だっっ!!降ろせっ!!!」
「ちょっと、もう少し可愛い反応してよ」
「無理!怪我してる訳じゃないし一人で歩けるって……!!」
「こんなやらしー格好してトコトコ歩いてたらまた襲われるよ?
それに、早く部屋に行きたいし」
返す言葉が見当たらなくて、黙りこくってしまう。
必死に真堂のシャツを掴んで、下から彼の顔を見上げる。
「あんまり見ないでよ、我慢出来ない」
「は?我慢?」
「やることは1つでしょ?」
「え、待てよ…お前まさか」
ニヤリと口角を上げるのを見て、またしても逃げたくなる。
しかしもう遅い。エレベーターに乗りこみ、階数は19階のランプを示して点滅していた。
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