アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
リアル⑨
-
「はぁー…」
何なんだよ、真堂の奴。
急に現れたと思ったら下半身丸出しのままの俺を連れ去って、押し倒してきて。挙句の果てに急に考え事し出して……訳分かんねえよ。
タイルに打つシャワーの音と共に溜め息が流れていく。
でも、俺も俺だよな……
三好に襲われた時の光景がフラッシュバックして恐怖を感じたのは確かだ。
でも、
……真堂に触られるのは嫌じゃなかった。
だからこそ自分でも動揺が隠せないのだ。
いや、これ以上考えるのはやめよう。
諦めてシャワーの栓をひねろうとした、その時。
「うわっ?!!」
突如背後から抱きしめられたのである。
浴室の扉を開けた音にも気付かなかった。
心臓がバクンバクンと跳ねてやかましいが、それを悟られないように振り向くと、服を着たままの真堂が顔を俯かせてボソボソ何か呟いていた。
シャワーの音で聞こえない、と再び手を栓に伸ばそうとしたがそれを制止される。
「…服のまま何してんだよ、濡れるぞ」
「分かってる、分かってるけど……止められなかった」
「はぁ?
今日いつにも増しておかしいよ、お前」
「どうとでも言ってくれ」
「何……ぃっ!」
チリっとした痛みで首筋にキスマークを付けられたと直ぐに理解した。
「初めて君の元セフレを見た。すごく焦ったよ」
「……」
「あの目は本気だった。いつか絶対にまた君を奪いに来る。
だからのうのうとしていられないんだ、それなのに……」
それなのに、なんだ。
確かにこいつははっきりと『焦っている』と言った。
あんなに余裕そうに、自信たっぷりだった真堂の面影は最早無い。
「三好のことはどうであれ、何でそんなに焦ってんだよ」
「西に…………いや、なんでもない。
ちょっと、ね」
「西?西って同じクラスのあいつのこと?」
「うん。……ここからは僕の問題だな」
「え?」
目を瞬かせていると、唇を重ねるだけのキスをしてきた。
暫し見つめ合った後、きつく抱きしめられる。
そして、耳元でポツリと『僕から離れないで』と零したのを、俺は聞き逃さなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
29 / 30