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「オレもぉ。起こしてよね、マジシャン」
そう言ってラバーはウトウトしながら僕の腕に絡みついてきた。
茶色の少し癖っ毛が首筋に当たって、くすぐったい。
琥珀色の瞳はトロンとしていて、今すぐにでも寝てしまいそうだ。
「目覚まし三個はかけとかないと」
「え~? 目覚ましの音、キライ」
「でも起きれないでしょ? ああ、それともデス、起こしてくれますか?」
前を歩く男性―デスが、ゆっくりと振り返った。
デスは漆黒の髪を後ろで撫で付け、細いフレームのメガネをかけている。
黒いスーツに長身を包み、彼はまるでそう―夜の海のような闇をまとっている。
黒い切れ長の眼がこちらを向く。
…人形のような無表情が、僕を見る。
「えっと…」
さすがに調子に乗り過ぎたかな?
「マジシャン、今夜は俺の部屋へ来い」
「うへっ」
思わず変な声が出てしまった。
「…僕、明日学校に行かなきゃいけないんですけど?」
「それで明日の朝は起こしてやる」
「……どういう交換条件ですか。全く…」
苦笑しながらも、拒否はしない。
…できないから、だ。
「う~。じゃあ今夜はオレ一人?」
ラバーは僕を見上げ、不満そうに顔をしかめた。
「らしいね。ゴメン、朝は起こすから」
「ぶぅ~」
頬を膨らませる姿を見ると、可愛いと思う。
けれど彼もまた、僕と同じ―殺し屋だ。
その後、デスの運転する車で住んでいる家まで帰って来た。
その頃にはラバーは完全に眠っていて、部屋で寝かせてから僕はデスの寝室へ向かった。
今住んでいる家は一戸建て。
外から見れば普通の家だが、ここはアジトの一つ。
普通に暮らしているように見せる為の家だから、内装は何の変哲もない。
ただ隠し地下室があって、そこには銃器類やナイフ、それに人を殺す為に必要な道具があるのを抜かせば、の話になる。
「やれやれ、二重生活も楽じゃないよなぁ」
と言いつつも、結構楽しんでいたりする。
きっと俳優としてデビューしたら、成功するぐらいに演技力はあるだろう。
でもそれは僕の同僚達にも通用するだろうな。
彼らもまた、演じるのが上手いから。
「デス、入りますよ」
扉をコンコンとノックして、開けた。
デスは携帯電話で何か話をしていたが、僕が部屋に入って来ると切ってしまった。
「報告中でしたか?」
「ああ。後始末が終わった」
それはさっき僕とラバーが殺した二人の遺体のことか、それとも別の…とまで考えて、思考を止めた。
僕が考えたところで、あんまり意味は無いからだ。
「そうですか。あの、ところで呼び出された理由はなんでしょうか?」
今更ながらも、引きつった笑みを浮かべつつ聞いてみる。
デスは何も言わず僕に近付くと、腕を掴んでベッドの上に投げ付けた。
そしてそのまま覆い被さり、貪るようにキスをされる。
「んんっ…!」
両手首を掴まれ、ベッドに押し付けられた。
上顎や舌と頬の裏傍、歯茎まで舐めあげられ、唾液が絡み合う。
淫らな水音が鼓膜を刺激する。
キスの甘さと激しさに頭の中が痺れて、体から徐々に力が抜けてしまう。
「はっ…あっ、んむ、ふぅ…」
甘い吐息が漏れ出る。
明日は起きられるだろうか?
などと考えながらも、下半身はしっかり反応しているのだから厄介だ。
デスのキスを受け入れるのは、頭で考えるより体が先に反応してしまうのがアレだよな~。
やっぱり慣れって怖い。
「ふっ…何を考えている?」
僅かに唇を離し、僕を見つめてくるデスに、へらっと笑って見せた。
「明日は起きられるのかな~と考えていました。あんまり激しくしないでくださいよ?」
「どうだろうな?」
そう言いながら笑って僕のズボンのベルトに手をかけてくるんだから、この人はサドだな。
僕は苦笑し、不安を抱えたまま、デスの背中に腕を回した。
翌朝、デスは本当に僕を起こしてくれた。
そして僕は起きられた。
…奇跡だ。
昨晩はアレだけ激しくヤられたのに、体のダメージは殆ど無い。
不思議に思いながらもシャワーを浴びて、ラバーを起こしに行った。
そして朝食を作る。
今朝のメニューはトーストとオムレツにサラダ。
飲み物は僕とデスはコーヒーを、ラバーはオレンジジュースを飲んだ。
しかしラバーは昨夜の寝不足が残っているらしく、ぼ~とした様子を見せていた。
「う~、眠い…。デス、今日学校休んじゃダメ?」
「ダメだ。休みたかったらとっとと情報を掴んでこい」
「ううっ。アイツ、ノリは軽いクセに口は堅いんだよな」
「アハハ。まあ僕の方でも探りは入れてみるから、頑張ろう」
頭を撫でると、ラバーの表情がいくらか和らいだ。
「…分かった。マジシャンがそう言うなら」
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