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「………」
「………………」
何故、この人とはバッドタイミングがピッタリ合うのだろう?
突如部屋の扉が開き、デスが姿を見せたのだ。
なのでさっきの僕の独り言は、とっくに耳に入っているわけで……いっ言い訳、した方がいいんだろうか?
「えっと…どうしました? デス」
しかしそれよりも逃げに走る僕って、本当にヘタレだな。
しかも引きつった笑みを浮かべているし……でも人間、恐怖が過ぎると笑い出してしまうというヤツかもしれない。
「来い、マジシャン」
デスはそう言って、部屋の中を顎で差す。
…仕事よりもこっちの休みが欲しいと、今切実に思った。
けれど逆らえないので、大人しく誘われるままに部屋に入る。
そして寝室へ―っていつものパターンか。
「テンパランスにはもう連絡したのか?」
「今日は用事があるみたいなので、明日する予定です」
何だ、こっちの話だったか。
と言うか、見抜かれているのが恐ろしい。
ハーミットとの会話を盗み聞きしていたわけでもないだろうに…。
「そっちこそ、エンペラーへの報告は終わったんですか?」
「ああ。何も問題はなかったからな」
警備員や鷹近を殺したことなど、デスにとっては何でもないこと。
まっ、僕やラバーも同じことを思っているわけだけど。
「それで? もう僕に用事はないんでしょう? 戻っても良いですよね?」
思わずつっかかった言い方をしてしまう。
あの取り引きがまだ、モヤモヤと心に残っているからだ。
「ダメだ」
そう言って腕を掴むと、僕をベッドに押し倒した。
「勘弁してくださいよ。疲れているんです」
覆い被さってくるデスの胸を押し、顔を背けた。
けれどデスは僕の頬に手を当て、優しく撫でてくる。
「っ!」
手袋を外した素手で触られると、ぞくっと背筋に甘い痺れが走る。
それと同時に胸まで熱く高鳴ってくるんだから……ヤダな。
僕の心と体は相変わらず反する動きをしてしまう。
「拒むとは珍しい。先程の取り引き、まさか本気にしたのか?」
そりゃまあ冗談だとは分かっていましたよ?
鷹近はいくら頭の回転が速そうでも、デスの好みじゃない。
僕が鷹近を殺さなくても、さっきみたいにラバーかデスが始末しただろう。
結果は変わらない。
なのにあんな取り引きを持ち出したデスに、僕は多少怒りを感じていた。
けれど悟られるのはイヤだったので、誤魔化しの笑みを浮かべる。
「いえ? 本当に疲れているだけです」
「昨夜は休ませてやっただろう?」
「そんなに相手がほしいのなら、ラバーにしてください。彼も欲しているみたいですから」
言いながら顔が歪んでしまう。
本当は言いたくないことだから。
「本当に、アイツの元へ行っていいのか?」
「そっれは…!」
―イヤだ。
本当はこのまま彼と…!
ぐっと唇を噛むと、顎を掴まれ、真正面から彼と顔を突き合わされた。
闇のように暗い二つの眼に射抜かれ、視線が逸らせない。
「どうする? お前が望むなら、俺はアイツの所へ行くが?」
表情一つ動かさず、言うことじゃない。
本気だと、イヤになるくらい分かってしまうから。
不安からか、胸の鼓動が早くなる。
彼は本当に心臓に悪い人だ。
それに頭に血が上っているせいで顔も熱くなるし、涙もうっすら滲んでしまった。
情けない顔をしている僕を、それでも彼は真っ直ぐに見つめ続ける。
「選べ、ユウマ。お前はどうしたい?」
「…こんな時ばかり、僕の意見を求めるんですね」
ズルい人だ。
鷹近のことと言い、僕を試すようなことばかり。
選択を与えているようで、結果が変わらないことは分かっているクセに…。
結局僕はどんな選択を与えられても、彼のことを選ぶ。
迷うことがあっても、僕は彼の傍から離れられない。
彼から離れたら生きていけない。
イザヤの傍にいるからこそ、自分という存在が自覚できるからだ。
イザヤの傍にいられるのならば、必要とされるのならば、何だってできる。
きっとイザヤはそんな僕の心なんて、お見通しなんだろう。
だけど時には確認したくて選択を与えてくる。
でもコレが彼の愛情表現ならば、僕は魂が震えるほど嬉しい。
僕は軽く息を吐くと、彼の首に手を回し、キスをした。
―気持ちを込めての返答だった。
…いつだったか、ラバーがデスと鷹近は下ネタで正反対だと言っていたのを思い出す。
実際そうだと僕も思う。
散々貪られた後、そのまま放置されていると特に。
いつもデスは事が済むと、とっとと服を着て部屋を出て行ってしまう。
今も裸で二人分の体液まみれの僕をベッドの上に置いたまま、服を着ている。
僕はもう指一本動かす力も残っていなかった。
体の中も外もベトベトでお風呂に入りたいけれど、文字通り腰が砕けて動けない。
デスは潜入していた時は一応気をつけていたみたいで、セックスの痕は体に残さないようにしていた。
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