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凛が、涙で濡れた僕の頬を、いい匂いのするハンカチで優しく拭く。
「銀ちゃんも俺も、青藍が生まれてすぐから見てきたんだよ。可愛いに決まってるじゃん。銀ちゃんは、俺のことになると、誰に対しても意地悪になるんだよ…。そこはどうしようもないみたいだし、許してあげて?」
顔に当てられたハンカチの匂いをくんくんと嗅いで、凛を見つめてコクリと頷いた。
「かっ、可愛い…っ」
そう言うと、凛が僕の頬に頬を擦り寄せてスリスリとする。くすぐったくて、キャッキャと笑っていたら、スベスベとした感触がすぐに離れてしまった。
顔を上げると、しろおじちゃんが怖い顔をして、凛をしっかりと抱きしめていた。
「凛…、まだ幼い青藍に抱きつくのは許そう。だが、今のはダメだ。くろが青藍を抱いていただろう。おまえが青藍に抱きついた時に、くろまで抱きしめたようになっていたぞっ」
「え?あ?そ…うだった?ご、ごめん…。鉄さんも、ごめん…」
凛は、ポカンと口を開けてしろおじちゃんを見上げて、それから慌てて謝った。そしてお父さんにも謝った。
「…いや、謝る必要は無い。僕は大丈夫だ…」
ポソリと呟くお父さんの顔を見ると、目がキョロキョロと動いて何だか嬉しそうだ。
ーーえ?もしかして、お父さんも凛が好きなのっ?
天狗界の中でもメチャクチャ強いしろおじちゃんとお父さんが、僕のライバルだなんて!
「…ん?青藍?」
僕は、不思議そうに僕を見るお父さんと、まだ凛をギュウギュウと抱きしめているしろおじちゃんを睨むと、明日からはもっと勉強と修行を頑張って、絶対に二人よりも強くなってやるんだっ!と心に決めた。
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