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「こんにちわぁ。凛、来たよ~」
玄関先で、僕は大きく息を吸い込んでから、声を張り上げた。
すぐに中からパタパタと走ってくる足音が聞こえて、玄関の扉がガラリと引かれる。「はーい」と言う僕の好きな声がして、笑顔の凛が出て来た。僕は、すぐに凛に抱きついて顔を上げる。
「凛!会いたかったっ」
「青藍、こんにちは。あ、浅葱(あさぎ)もご苦労さま」
「久しぶり、凛。青藍様を連れて来たよ。よろしく頼むね」
「うん。青藍はいい子だから大丈夫だよ。さ、二人共上がって」
「「お邪魔しまーす」」
僕は、一旦凛から離れて靴を揃えて脱ぐ。玄関を上がると、凛の手を引いて奥の部屋に向かった。
その後を、浅葱が僕の鞄を持ってついて来る。
居間に入ると、僕はもう一度、凛に抱きついた。
「凛、いっぱい遊ぼうね!お風呂も一緒に入って、一緒に寝ようね!僕、すっごく楽しみっ」
ギュウギュウと凛に抱きつく僕の頭の上から、凛のクスクスと笑う声が聞こえる。
「うん、いいよ。ずっと一緒にいようね。でも青藍、もしもお父さんとお母さんを思い出して寂しくなったら、正直に言ってよ?」
「え?なんないよっ。だって僕、凛が大好きだもん。凛がいるから大丈夫だよ」
しがみついていた凛のお腹から顔を上げて、ニコリと笑う。そんな僕に凛も笑って、「ありがと。青藍はいい子だねぇ」と頭を撫でてくれた。
部屋の隅に荷物を置いた浅葱が、苦笑いを浮かべてこちらを見ながら勝手にキッチンに入り、お湯を沸かし始める。
「凛~、青藍さまぁ、何飲みますかぁ」
「あ、俺、ケーキ買って来たんだ。だから紅茶がいいな。そこに紅茶の葉、置いてあるだろ?青藍はジュース飲む?」
「僕も凛と一緒がいいっ」
「え?苦いかもしれないよ?」
「大丈夫っ。僕飲めるもん」
「じゃあ皆んな紅茶でいいよね」
浅葱がそう言って、紅茶の葉っぱを透明の大きな急須みたいなものに入れる。そこに沸いたお湯をたっぷりと注いで、お盆に大きな急須と白いカップを乗せて持って来た。
「ありがとう、浅葱。青藍、ちょっとここに座ってて。ケーキ出してくるよ」
「はーい」
「青藍さま…。凛の前と俺の前とじゃ、態度違い過ぎない?」
僕の向かい側に座った浅葱が、ブツブツと呟いている。
紅茶の葉っぱを眺めていた僕は、「ん?なに?」と首を横にコテンと倒して浅葱を見た。
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