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妖狐の天清(たかきよ) 1
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凛が買って来てくれた、大きなイチゴが乗ったケーキを食べ終わって、食器を片付けて戻って来た凛の隣に座って話をする。凛に顔を向けて、頑張っている修行の話をしている時だった。
ピンポーンと玄関から来客を告げる音がした。
「あ、来たかな?青藍、ごめん。ちょっと待っててね」
凛が、僕の頭を撫でて、早歩きで玄関へ向かう。
僕は部屋を出て行く凛を見て、向かい側に座る浅葱を見ると、「誰?しろおじちゃん?」と聞いた。
浅葱が、静かに首を振って笑う。
「銀様は、今日は夕方まで仕事だと聞いてますよ。たぶん、凛の友達の妖狐でしょう。ちょっと鈍臭い奴ですが、いい奴ですよ。俺とも友達です」
「妖狐…」
小さく呟いて、僕は凛が座っていた座布団を見る。
凛は、僕くらいの年の時に、山で迷って、天狗のしろおじちゃんと出会った。何度も会って遊ぶうちに、お互い好きになって、結婚の契約をしたんだって聞いた。
でも、二人は一度離れてしまって、大きくなってから再会して、やっぱりお互い好きだったから、昔の契約を叶えて夫婦になったんだ。
天狗のしろおじちゃんと夫婦になったせいかどうかはわからないけど、凛は普通の人間なのに、妖に襲われて、怪我したり死にかけたりしたって聞いた。
友達だっていう妖狐も、そんな時に会ったのかなぁ…。
「青藍さま?どうしました?ふふ、今から会う妖狐は、凛の高校の時の友達ですよ。何も心配はいりません」
急に黙ってしまった僕の心を読んだみたいに、浅葱がニコリと笑って言った。
僕は、「うん」と頷いて、だんだんと話し声が近付いて来る部屋の入り口を見た。
「天清(たかきよ)くん、大きくなったね。今日は、お兄ちゃんがいるよ?遊んでもらおうね」
「その話、今朝話したら、そっからずっと落ち着きないの、こいつ」
「えっ。緊張してる?」
「いや、たぶん逆。楽しみで…」
凛と話しながら、紺の薄いセーターとジーンズを履いた、凛より頭一つ分背の高い男の人が入って来た。
僕と目が合うと、笑顔で片手を挙げる。
「よっ!こんにちは。青藍くんだよな。へぇ~、大きくなったねぇ。俺が前に見た時は、まだ歩いてなかったもんなぁ」
「え?そんなに会ってなかったっけ?まあ清は、子供が出来て結婚して…って忙しかったもんね。それに、子供の成長は早いし…。天清くんも前に会った時と比べたら、大きくなったもん。ほら天清くん、おいで。青藍お兄ちゃんだよ?」
凛が、男の人の後ろに手を伸ばして、僕より小さな男の子の背中を押しながら、部屋の中に入って来た。
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