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たかきよくんが、いきなり手を伸ばして、僕の頬っぺを両手で挟む。小さな手で力いっぱい押されて、僕の口からププッと空気が漏れた。
僕はたかきよくんの手首を掴んで、軽く睨む。
「なっ、なにするのっ」
「せいらん、プンしたらダメだよ。プンすると、幸せが逃げちゃうってお母さんが言ってた」
「…プン?」
「今みたいなおかお。こわいかおしてたら、まわりもじぶんも楽しくないでしょ?」
「…だって…」
僕は、たかきよくんから手を離して、クルリと背中を向ける。少しだけ離れて翼を広げると、一気に屋根の上まで飛び上がった。
「わあっ!すごいっ」
たかきよくんの高い声に下を見る。大きく口を開けて、キラキラとした目で僕を見るたかきよくん。その隣で、凛が心配そうに僕を見上げていた。
「青藍っ。降りてきて」
今の僕は、素直に凛の言うことを聞く気になれなくて、凛から目を逸らすと、更に上空へと舞い上がった。
「青藍っ!」
凛の声が、だんだんと小さくなって聞こえてくる。屋根よりも高く飛んだことはなかったけど、意外にも僕のまだ小さい翼でも、かなり上空へ飛ぶことが出来た。
さすがにこれ以上飛ぶのは怖くなって、ソロリと下を見る。家々がとても小さく、凛やたかきよくんも豆粒くらいの大きさだ。
少し翼を動かすのが疲れてきた僕は、もう凛の元へ戻ろうと降下を始めた時だった。
いきなり強い風が吹きつけてきて、僕の身体が大きく揺れる。バランスを崩した僕は翼を動かせなくて、頭から落ち始めた。
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