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凛に何度も背中を撫でられて、やっと落ち着いてきた僕は、凛から身体を離した。
ズボンのポケットから出したいい匂いのするハンカチで、凛が僕の濡れた顔を優しく拭いていく。
「青藍…、何か嫌なことや腹が立つことがあったら、動く前に口で言って。空に飛ばれてしまうと俺は追いかけれないし、何かあっても助けれないから…。ごめんね、青藍。俺が嫌なこと言った?」
凛のハンカチを手に取って、鼻に押し当てて首を横に振る。
「…ううん。凛は悪くないよ…。僕が勝手に拗ねたの。僕、凛が世界で一番しろおじちゃんを好きだって知ってる。知ってるけど悔しかったの。ねぇ凛…僕のことも好き?怒ってない?」
「ふふ、青藍のこと、好きだよ。前にも言っただろ?赤ちゃんの頃から見てるんだから、青藍は特別だよ。何しても何されても嫌いになることなんて無いよ」
凛の白く細い手で頬を撫でられて、くすぐったくて首を竦める。鼻を啜りながら笑った後に、僕はしろおじちゃんを見た。
「しろおじちゃん、ありがとう。いつ僕を見つけたの?」
「ん?ああ、家に近づく少し前からおまえ達の会話は聞こえていたんだ。庭に出ていたからな。そのうちにおまえが飛び上がって、無茶してかなり上空へと行っただろう。あれは絶対に降りれなくなるなと、すぐに助けに行けるよう飛ぶ準備をしていた」
しろおじちゃんが、凛の傍に来て、凛を立たせて肩を抱き寄せる。まだ少し震えている凛の手を握って、指先に唇をつけた。
そんな二人の姿を見て、僕のほっぺがまた膨らみそうになるけど、ギュッと口を閉じて俯いた。
ふいに僕のほっぺに温かいモノが触れて、ハッと顔を上げる。たかきよくんが大きな目の上の眉を八の字にして、僕のほっぺを両手で包んでいた。
「な…なに…?」
「せいらん…、プンしたおかおもダメだけど、悲しいおかおもダメだよ。ぼく、せいらんに笑ってほしい。ぼくね、せいらんが好き。一番好きっ。だからね、また遊んでくれる?」
コテリと首を倒して、また丸い顔の大きな目で見つめてくる。その愛らしい様子に僕の心が軽くなって、僕は笑いながら「うん!」と大きく頷いた。
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