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「ん?だって天清くんの話をする時、嬉しそうにしてるよ?」
僕の口を拭き終わって、凛が僕の顔をのぞき込む。
僕は自分ではよくわからなくて、イチゴジャムを塗ったトーストを取ってパクリと噛みついた。そんな僕の頭を、凛が優しく撫でる。
「青藍、今日俺は仕事で夕方まで帰らない。昨日みたいに凛を困らせるなよ」
白いカップを片手に、しろおじちゃんが僕を見た。
口の中のパンをよく噛んで飲み込みながら、僕はしろおじちゃんを見て大きく頷いた。
朝ご飯を食べて、歯を磨いて座卓の前で字を書く勉強をしていると、玄関からピンポーンと軽快な音が聞こえた。
キッチンにいた凛が、手を拭いて早歩きで居間を出る。
たかきよくんが来たのかと勉強道具を鞄にしまって、僕も勢いよく立ち上がって凛の後を追いかけた。
「おはよー!せいらんっ」
「おはよう、たかきよくん」
玄関に出て来た僕を見るなり、たかきよくんが笑顔で僕の傍に来て両手を握る。温かい小さな手に握られた瞬間、胸がキュッと苦しくなった気がして、片方の手を離すと胸に当てて首を捻った。
「どうしたの?」
「えっ?」
小首を傾げて僕を見上げるたかきよくんに笑い返して、「おいで。今からお絵描きする?」と聞きながら、靴を脱いで玄関を上がったたかきよくんの手を引いて、居間に向かった。
凛が僕のためにと用意しておいてくれたお絵かき帳を出していると、凛とたかきよくんのお父さんが、話をしながら居間に入って来た。
「清、今おにぎりと簡単なおかずを作ってるんだ。もう少ししたら、それを持って出かけようよ」
「おお!いいなっ。てか、え?凛ちゃんのお弁当?すげー…。なんかすっかりいい奥さんって感じ」
「ちょ…っ、清に言われると恥ずかしいな…」
「凛ちゃんと一ノ瀬さん、最初からラブラブだったけど、年々ラブラブ度が増してるよな?」
「…だって銀ちゃん、大人の男になって、もっとかっこよくなってるから…」
「はいっ、出た!凛ちゃんのノロケー。俺、やっぱり二人を見てるの好きだわ。幸せな気持ちになる。最近は穏やかに過ごせてるしな」
「うん、毎日穏やかで幸せだよ」
和やかに話す二人を見て、妖狐だけど凛に優しいたかきよくんのお父さんはいい人だと、僕は少し嬉しくなった。
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