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車から降りようとする僕と、止めようとするたかきよくんが揉めていると、窓からコンコンと音がして、二人揃って顔を上げる。
たかきよくんのお父さんが、少しだけドアを開けて渋い顔をした。
「おまえら、何してるんだよ。大人しくしてろ。今、一ノ瀬さんに連絡をしたから。すぐに飛んで来てくれる」
「しろおじちゃんが?間に合う?」
「あの人の飛翔力はハンパないからな……あっ!」
「なに?」
たかきよくんのお父さんが、いきなり大きな声を上げて、遠くを見た。その視線の先に僕も顔を向けると、駐車場の入口から、さっきの綺麗な男の人に手を引かれながら凛が入って来た。
凛の姿を見て、僕の身体が勝手に動く。少し開いていたドアを強く押して車から飛び降り、たかきよくんのお父さんの横をすり抜けて、凛に向かってまっすぐに走り出した。
「あっ!こら待てっ、青藍!」
僕を止める声を振り切って、背中に意識を集中させて翼を出す。二三度羽ばたかせて宙に舞い上がり、凛目がけて一直線に飛んだ。
「凛っ!」
「青藍っ?来ちゃダメだっ」
僕の声に振り向いて、凛が驚いた顔をする。止める凛の声を無視して、凛の目の前まで近づき手を伸ばした。
凛を掴まえた!と思った僕の身体が、いきなり動かなくなる。ビックリして下を見ると、僕の身体が、透明のヒモのような物でグルグルに縛られていた。
「わあっ!なにこれっ!」
「青藍っ!や、やめてっ、この子を離して!」
凛が、掴まれた腕を強く引いて男の人に訴える。
男の人は、凛の腕を掴んだまま、反対の手で凛の頬を撫でた。
「そんなに喚くな…。なんだ、この子は?…ああ、もしかして、俺のヒゲを抜いた、あの銀色の翼を持つ天狗の子か?」
「ちっ、違うっ!」
頬に触れる男の手を跳ね除けて、凛が叫んだ。
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